本気以上のチロリアンシューズ
こんにちは。
MANHOLEの河上です。
タイミングが良かったのか、一昨日紹介したMARMOLADAのマウンテンブーツは昨日スラッとした青年が買っていってくれました。
味をしめたので今日も靴を紹介しようと思います。
– F.LLI Giacometti –
それは世界中の伝統的かつクラシカルなシューズに対する敬意、そして高いサンプリング能力と、イタリアの確固たる技術・経験の融合により生まれる実用性/ファッション性/独自性溢れるシューズブランド。
[ Marmolada ]
ジャコメッティ兄弟がドレスシューズを製作するかたわらで作っている登山靴へのオマージュライン”Marmolada”
登山靴生産の一大拠点であったヴェネト地方。
この地方では伝統的にノルベジェーゼ製法で登山靴を作っていましたが、時代の流れにより周りの技術を持つメーカーが廃業していきます。
ジャコメッティは、ノルベジェーゼ製法に求められる高い技術力を後世に残す為にドレスシューズの雰囲気を取り入れたマウンテンブーツを作り始めます。
その「ジャコメッティの登山靴」を作る過程で生まれたカジュアルなブーツを作り出す技術でジャコメッティ兄弟は、マウンテンブーツだけでなく様々なブーツを作ることに。
F.LLI GiacomettiのMARMOLADAで継続的にリリースしているチロリアンシューズ。
サンプリング元はみなさんの想像通りだと思います。
それにジャコメッティ独自の靴作りのベースを落とし込んだ一足。
このモデルに限らず、F.LLI Giacomettiのシューズは木型と仕様に合えば様々な甲革をのせる事が出来るのですが、本モデルの甲革はエルバマット製法のヴァケッタレザー。
エルバマット製法のヴァケッタレザーは、植物タンニンなめしを行った後に牛脂/魚脂のオイルをたっぶりと含ませた革。
水分を一切使わずにオイルをじっくりと時間をかけて繊維の奥まで染み込ませています。
もっちりとした質感、潤いと艶感に富んだ表情がこの革の魅力です。
植物タンニンなめしの革は薄く漉いてしまうと破れやすい為、ヴァケッタレザーはほぼ漉く事なく元厚に近い厚さがあるのも特徴の一つ。
このチロリアンシューズのコロッとした形に良く合う革です。
一見丸っこいですが、捨て寸は見た目以上に確保されているので、履くと見た目以上にすっきりとした印象。
ちなみに以前紹介したsaddle shoesにも同じ革の裏と表を使用していました。
マルモラーダのMをもじった飾りステッチ。
ハンドソーンノルベジェーゼ。
丸っこいピンキングにハンドのモカ縫い。
ヴァケッタレザーの色味に合わせたレザーのミッドソール。
F.LLI Giacomettiは通常ビブラムの底まで縫い通しして返りを良くしているのですが、MARMOLADAのラインはステッチから水が染み込むのを防ぐためにビブラムを接着してミッドソールに固定しています。
装飾的でもあり、機能的でもある。
F.LLI Giacometti/MARMOLADAならではの魅力を確かに感じられるチロリアンシューズ。
履き込むとエルバマット製法のヴァケッタレザー特有のムラのある艶感を楽しむ事が出来るはず。
これくらいオイルが染み込んだ革であればそこまで神経を尖らせて手入れをする必要は無いかと思います。
作り自体は本気のチロリアンシューズ。
僕はあまり天候を気にする事なく履いて、よりムラっ気のある表情を楽しんでみても面白いかな〜、なんて。
“チロリアンシューズ”だからと言って、アルチザンな格好に直球で合わせても面白く無いし、巷で固定化されてしまった「シティボーイ感」は全く僕らのスタイルに馴染みが無いので、普段通り適当な格好に合わせて履きたいと思います。
それにしてもこのHUGO BOSSのベストかっこいいなあ。。。
サンプリングが上手い人はいくらでもいますが、内容が伴っていないと途端にハリボテ感が出てチープになるのはどの分野にも言える事。
オリジナルを超える前提が無ければサンプリングする意味がないのです。
このチロリアンシューズは、イタリアのF.LLI Giacomettiに作られる事による意味を確かに感じられる靴だと思います。
サイズは39のみ。
ぴったりハマる方をお待ちしています〜。
と書いている真っ最中に、爽やかなお兄さんがこのシューズを買われていきました。
ここまで書いておいて申し訳ないですが、気になる方は近隣の店舗に取り扱いがある場合、ご案内させていただきますのでお気軽にご相談ください。
昨日、今日と立て続けに売れたので、明日も期待しちゃおうかな〜。
なんて思っていても売れるシューズでは無いので、店頭にあるエレファントのチャッカブーツは気長に提案し続けて行こうと思います。
それにしても靴は買うのも売るのも楽しいですね〜。
お客さんに、自分にハマった時の感じは洋服以上かも。
河上 尚哉