” 脱〜 “
” CLASS for MANHOLE “ – HIPPIE MODERNISM –
” ULTERIOR for MANHOLE “ – HONEYCOMB WAFFLE SWEATER –
” cantate ” – Fluffy Sweat Pants for MANHOLE –
こんにちは。
MANHOLEの河上です。
洋服を紹介している際に「安定の〜製」だったりの表現を良く目にしますが、あまり理解が出来ません。本当に大事なところは果たしてそこなのだろうか。
確かに「アメリカ製だったら」「イギリス製だったら」「フランス製だったら」「イタリア製だったら」などの物の選び方は僕らもしますが、それを売り文句にお客さんにモノを押し付けるのはなんか違うような気がするのです。
そういった記号的な要素は、洋服を選んで試着して気に入った後に付いてくるおまけみたいな物。

そうそう、おまけといえば今日紹介する”cantate” – Fluffy Crew neck Sweat Pullover for MANHOLE -。
「河上さん、今回の別注なんですが、予定通りスウェットパンツ50本作っても、あと2〜30本作れるくらい生地が多く上がってきちゃった。。。」
去年の11月くらいにcantateデザイナー:松島さんからそんな内容の電話がかかってきました。
自信はあるけどスウェットパンツ50本という数字で既に若干ビビってたので、これ以上作ってもらうわけにはいかない。
どうしようか。。。なんて3秒くらい考えて閃きましたよ。
そうだ、中台の普段着兼パジャマ兼夜遊び用のクルーネックスウェットをサンプルにしよう。




サンプルにしたスウェットがこれ。
JERZEESのメキシコ製。
平置きで身幅72cm、着丈72cmという規格外の大きさ。正方形。
太いアームホール。短い袖丈。3XL。
もしかしたらレディース規格なのかも。
そう言われるとヒスパニック系の陽気でふくよかな女の人とか自然に着てそうですね。
リブ幅が細く、着用した際にストンと落ちます。袖のリブも邪魔じゃなくて良い。
ディテールはスウェットなんだけど、着ている本人はロンTの様な感覚で着られるもの。
「そうそう、こんなスウェットが欲しいんだよね〜。」なんて言いつつも、こんなのまとまった数で出ないし、いつか誰かに作ってもらおうと考えていました。
「生地を多く作ったのはうちの都合だから、出来る限りなんでもやりますよ。」という男気を見せてくれた松島さんも、サンプルを渡した時は流石に嫌そうな顔をしていましたよ。
渡してから気付いたけど、元ネタは丸胴だからそもそも作れないんじゃないかな、と思ってましたが、「あのバランスだったら脇のリブつけてもいいですよ〜。任せます。」なんて感じで丸投げしてから一ヶ月。
「河上さん、出来ました。」と届けてくれたのがこれ。





– Fluffy Crew neck Sweat Pullover for MANHOLE –
¥43,000+TAX-
流れ的にスウェットパンツのおまけみたいな感覚で作ったつもりが、超本気の内容に。
cantateがインラインで展開するスウェットの2倍近い用尺が必要なので結果的に15枚しか作れませんでした。
というよりか、このプルオーバーを15枚作るには余った生地だけでは全然足りず、スウェットパンツの本数を15本近く減らすことになりました。
(素直にスウェットパンツを7〜80本作った方がお店の数字としては良かったのでは無いか、と今になって気付きましたよ。別に良いけど。)
この規格外のスウェット15枚作るのに、時間も手間も生地も費やすことに。
僕らは待っていただけですが。。。こうして具体的に形にしてくださる方々には頭が上がりません。
ちなみに松島さんは僕にこれを渡した後に「こんな生地を食うスウェットはもう二度と作りたくない。」と言いながら去って行きましたよ。
仕上がりがめちゃくちゃに良かったので、出来ればおかわりしたいんだけどなんか怒られそうですねえ。
とりあえず1月25日(土)はお店に立ってくれるみたいなので、その時の皆さんの反応次第で松島さんの気も変わるかもしれません。期待。

期せずして生まれ変わって揃った中台の普段着兼パジャマ兼夜遊び用のスウェットのセットアップ。
サンプルにした物は、両方とも記号的な価値の認められていない、安物の古着です。
ただ、実際に着る洋服としては抜群にバランスが良い、ノリが良い。
「安定の〜製」に囚われ過ぎていると掴めないもの。
しばしば「おまけ」が優先されて本質的な部分が隠れてしまうのも洋服というモノの悲しさでもあり楽しさでもありますが、僕らが本来探して行きたいのはこういう物でもあります。
ただ、残念なことに一度手に入れたからと言って同じものを探しづらい、見つけきれない物でもあるのです。
なので、信頼のおける人たちに形にしてもらうことにしました。
次は何を作ろうかなあ。

プルオーバー、スウェットパンツ共に本当に良い出来です。
他の別注と合わせて1月24日(金)から販売を開始します。
僕らの想像を超える完璧な仕上がりに、思わず笑っちゃいました。
将来ビンテージになっちゃうかも。なんて。
河上 尚哉