” cantate ” – Fluffy Sweat Series for MANHOLE –
” CLASS for MANHOLE “ – HIPPIE MODERNISM –
” ULTERIOR for MANHOLE “ – HONEYCOMB WAFFLE SWEATER –
” cantate ” – Fluffy Sweat Pants for MANHOLE –
”cantate” – Fluffy Crewneck Sweat Pullover for MANHOLE –

こんにちは。
MANHOLEの河上です。
先日紹介したcantateの別注スウェットシリーズを、今日はもう少しだけ丁寧に。

もちろん実際に着てみるのが一番わかりやすいのですが、このスウェットに関しては見ただけ、触っただけで「いいな。」と感じられるものがあります。
元のサンプルにした中台の普段着兼パジャマ兼夜遊び用のスウェットの、古着としてのノリ/バランスの良さとは全く違ったベクトルの、圧倒的な生地の風合いが洋服としての雰囲気の良さにしっかり表れているのです。
まずはクルーネックのプルオーバーから。




サンプルとして使用した正方形のような身幅/着丈のバランスはほぼそのまま。
袖丈や、丸胴からリバースに変更する際の修正は全て松島さんにお任せしました。
着てみた時の印象は、まさしく理想通り。
「ここがこうだったらいいんだけどなあ。」というスウェットは古着でも新品の洋服でも多いのですが、これはシルエットや着心地の良さを含めて、僕たちにとっては非の打ち所の無いものです。
チープなスウェットならではの袖口の短いリブは、個人的には好きだったりします。
袖丈が多少長くても、袖口で生地がまとまって溜まってくれる事や、そもそも袖口のリブが長いと邪魔に感じるタイミングが多いからです。
腰回りのリブのテンションも然り。
絞りすぎている物だと邪魔に感じるし、かといってだるだるに伸びている物/伸びてしまいそうな物は話にならない。
実際に手にとって、着てみてください。
誰にでも着られるシルエットと誰にでも取り入れられる生地、価格帯を不自然なまでにバランスよく整えた新品のブランド物やセレクトショップのオリジナルには絶対に超えることの出来ない何かを感じられるはず。
僕らは古着で探せばどうにかなるものを誰かにお願いして作ってもらうことはしたくない。
今は物が溢れているし、タイミングさえ良ければわざわざ高いお金をかけずに絶対に誰にでも探せるはずなのです。
このcantateのスウェットのように圧倒的な生地の風合い/着心地の良さ、規格外のバランスのものでなければ特に。
そして、スウェットパンツ。

「なんか良い感じのスウェットパンツかサーマル無いかい。」
中台が古着屋で働いていた3年の間、僕は彼のお店に遊びに行く度にこの言葉を伝えていました。
「そんなの滅多にねーよ。」なんて言われながらも、勧められたものは買うようにしていたのですが、古着でまともにかっこよく着ることの出来るスウェットパンツは本当に無いです。
コットン100%で生地感が良いものは裏毛がふかふかすぎて暑い。
そもそもポケットが無い、ガゼットが邪魔、股下が浅くて局部がもっこり見える、ドローコードが死んでる、ドローコードが使いづらい、腰回りの生地が裂けてる、致命的な汚れが付いている、裾リブのテンションが強すぎ、膝が出ている等々、文句はいくらでも出てきます。
かといってディテールに気が利いているものは生地がチープすぎて使い物にならなかったり。
古着のリバースウィーブのスウェットパンツなんて生地も重いし、股上も浅いし、股下も長いし、ポケットも付いてないし、何故あれが良いものとされているのか僕らにはわからなかったりします。
かといって、新品のブランド物のスウェットパンツは気が利きすぎていたり、シルエットが綺麗すぎたり、テーパードのスウェットパンツなんてちょっと洋服に気を使ったおじさんみたいにしか見えない。
「スウェットパンツ」は自分の中で「ただ穿きたいから、好きだから。」という理由だけでどこかを必ず犠牲にして我慢をしながら取り入れていた物でもあるのです。
本来楽であるべきもののはずなのに。






サンプルにしたスウェットパンツに若干の修正は加えましたが、シルエット/ディテールなどはほぼそのままです。
ワイドストレートシルエット。
左右のサイドポケット、ヒップポケットが一つ。
裾ドローコード付き。
これくらい単純でいいんです。
ただ、これくらい単純なものを意外とみんな作ってくれなかったりします。
僕らはいつもスウェットパンツのことをスラックスだということにして穿くことにしています。
皆さんもスラックスだと思って取り入れてみてください。






全く同じスウェットパンツですが、僕らしさ、中台らしさがしっかりと出ます。
普段通り合わせることによって、その人らしさが出る洋服。
中途半端にデザインが入っていないだけに、それがより強く感じられるはずです。








期せずして生まれ変わって揃った中台の普段着兼パジャマ兼夜遊び用のスウェットのセットアップ。
サンプルにした物は、両方とも記号的な価値の認められていない、安物の古着です。
ただ、実際に着る洋服としては抜群にバランスが良い、ノリが良い。
「単純にヴィンテージ」であることだったり、「単純に希少価値の高いもの」だったりには全く興味が湧かない、というのは僕と中台の数少ない共通点だったりします。
そういうともすれば「金」が脳裏を掠めそうな不純さのある、実際に着ると何かのコスプレになってしまうような洋服よりも、「着て高揚感のある。」「自分が着ていてかっこいい。」と思えるものの方が、よっぽど純粋で楽しいのではないでしょうか。
と、しばしば「おまけ」が優先されて本質的な部分が隠れてしまうのも洋服というモノの悲しさでもあり楽しさでもありますが、僕らが本来探して行きたいのはこういう物でもあります。
ただ、残念なことに一度手に入れたからと言って同じものを探しづらい、見つけきれない物でもあるのです。
なので、信頼のおける人たちに形にしてもらうことにしました。
次は何を作ろうかなあ。
※” cantate ” – Fluffy Sweat Series for MANHOLEは1月24日(金)より販売を開始致します。
河上 尚哉