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明日の靴




こんにちは。
MANHOLEの河上です。

洋服屋さんで働き始めたのが約10年前。
その時はボリューミーでつま先の丸っこいシューズ、既に僕が好きな/気になっていた靴ばかり買っていた気がする。

「トゥラインがシャープな靴、内羽根の靴は華奢すぎてカジュアルな格好には合わない。コバやソールが薄い靴は自分にはエレガントすぎる。」なんて決めつけていた。
絶対にそんなことは無い。無知な上に頑固、人の話も素直に聞かない、本当に最悪な子供だった。

とはいえドレスフロアに立つ機会も多かったので、最低限回せる分のドレスシューズを「仕事」みたいな感覚で履いていた。
今覚えばとても勿体無い時間を過ごしたと思う。

そんな僕を見かねてか、当時の上司が履き古したenzo bonafeのブラックスエードのオックスフォードシューズをくれたけど、「トゥラインがシャープな靴、内羽根の靴は華奢すぎてカジュアルな格好には合わない。」なんて決めつけていたせいで、結局bonafeの靴はもちろん、ドレス用と割り切って買ったドレスシューズの良さを理解しないまま僕はその職場を去ることになる。

偏見や決めつけといった負のイメージを持ったまま日々を過ごすと、絶対に変われないし将来的に後悔の念に駆られることの方が多い。




そんな僕でも環境や気分の変化でそういった自分の中の変な決めつけを少しずつ消していく事が出来てきたと思う。

マッケイ製法、エレガントな軽快さのあるグルカサンダル。
この靴は僕の中の「マッケイ製法の靴への抵抗感と、サンダルに靴下を合わせる抵抗感」を見事に打ち砕いてくれた。

スリッポン木型:ROSSAを使ったノルベジェーゼ製法のスリングバック。
この靴は「鼻面の長い靴のカジュアルな合わせ方、一見無駄な作りの装飾的な美しさ」を僕に伝えてくれたような気がする。

cantateの松島さんが企画したrios of mercedesは、完全にその場のノリと勢いで買ったけど、
「つま先の反り上がった靴に対する嫌悪感、ウェスタンブーツに対する嫌悪感」を完全に払拭してくれた。



最近、「履きたいな。」と思ってストレートチップのオックスフォードシューズを買った。
仕事用でもなく、結婚式用でもなく、葬式用でもなく、なんとなく「履きたいな。」と、思えた。

F.LLI GiacomettiはWHEELIE:秋山さん。
rios of mercedesはcantateの松島さん。

「その人を信頼した上でその人の話を素直に聞く事」さえ出来れば、自分の中の負のイメージや、根拠の無い疑いは意外と簡単に消す事が出来る。

自分の既に好きなもの、既に欲しいものを自分で選んでいるだけじゃ、いつまで経っても変化は訪れない。


” F.LLI Giacometti “
– FG512.012 – [ Semi Brogue Oxford ] ¥101,000+TAX-



英国のクラシックなドレスシューズのフォルムを手本に制作した木型VERDE。
内羽根のセミブローグ。
甲革は型押しのフレンチカーフ。
大きな親子穴とピンキング、ハトメの施されたレースホール、Vibramを履かせたカントリースタイル。

記号的な情報だけ与えられるとエレガントなドレスシューズなのか、スポーティなカントリーシューズなのかわからない。
だけど、全体的な仕上がりはカジュアルシューズよりもよりカジュアルであるように感じる。





この靴は、この靴に堅い印象を感じて手が伸びない人にこそ履いて欲しい。

そういう人にとって、違う明日の自分に出会えるきっかけになるような靴だと思う。




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河上 尚哉

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