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理由



こんにちは。
MANHOLEの河上です。

CLASSから楽しみにしていたパンツが届いた。
価格は¥98,000+TAX-。
打ち間違えじゃない、税込で¥107,800-だ。

お任せで一人15,000円の赤坂のお寿司屋さんに一週間連続で通ってもお釣りが来る。
僕らがランチでよく行く近所のSANTAMARIAだったら、3ヶ月毎日ランチに通う事ができる。
きっとお店の人も喜んでくれる。
僕が最近ハマっているパイン飴であれば、100kg以上買える計算だ。

10月1日から東京都民もGo To トラベルキャンペーンの対象になるそう。
一泊二日、107,800円あれば贅沢な旅行が楽しめると思う。
買付にいく時に使うコンデジも買えるだろう。
お客さんの働いている/経営するお店に行って全部使ってもいい〜…足りないかもしれない。

使い道を考えるとワクワクが止まらない十万七千八百円。
このパンツを買うと、その手の種類のワクワクは無下に消える。

MANHOLEにはこの値段のパンツを「あ、そうなんですね〜。」なんて涼しい顔で買うお客さんはいない。
仮に僕らの顧客リスト(そんなの作ってないけど)にそういう方の名前が載っているのであれば、僕はこのパンツを仕入れないかもしれない。



” CLASS “
– Yuval – [ Waist Shirring Tapered Trousers ] ¥98,000+TAX-



両サイドに入るウエスト切り替えのシャーリング。
ウエストラインを綺麗に見せる為、サイドシームをポケットの下から前に移動させているのが特徴。

素材には、尻尾を切らずに育てられた(NON MULSED)サクソン種の羊から取れる希少なSP160のWINTON WOOLのナチュラルストレッチを使用。




ノンミュールシングで育てられたタスマニア:saxon種の原毛を使い織られたSuper160’sのWINTON WOOL。

ノンミュールシングについては興味がある方は調べてみてください。
エシカル/サステナビリティ/トレーサビリティのかけらも無い僕からは何も伝える事が出来ない。

まず、生地自体が出回らないらしい。
実際にこのパンツ4本分しか生地が無かった為、この生地のこのパンツは4本しか作られていない。
同型の生地違いもコレクションにラインナップされていたけど、それでもこの型自体の生産数はそこまで多くないはずだ。
もしかすると、この生地のこの型をこうしてお店に並べているのはMANHOLEだけなのかもしれない。


というのは、このパンツの「値段の高さ」を少し説明する為の簡単な内容。
自分の買い物を頭で納得するだけの理由にしかすぎない。
このパンツもおそらく、好んで/狙ってこの値段が付いている訳では無いはずだ。





このパンツの説明はおろか、値段すら伝えていない中台も「このパンツすごいね。その生地なんなの?」と言いながら写真を撮り、液晶に映ったそれを見て「写真だけでも凄さが伝わって来るなあ。」なんて事を言っていた。

Super〜sなんていう数値は「高ければ高いほど高い」という認識しかない僕でも、このパンツの表情の美しさはわかる。
Super160’sのナチュラルストレッチのせいか、肌に触れる際も体感した事のない種類の心地よさがある。

腰に向かって駆け上がるウェストラインのせいか、ウェストゴムのイージーパンツながらクラシックなトラウザーズを履いた時のような引き締まった印象を感じる。

BLESSのラグにピントがあった写真でも、このパンツを目で追ってしまう美しさを感じる事が出来る。




僕がこのパンツを仕入れた理由/お客さんに紹介したいと思った理由は、単純に「かっこいいパンツだなあ。」と、思ったからである。
そういう意味では、中台が「かっこいい物として提案が出来る。」と考えて仕入れたJNCOのパンツと根本は変わらない。

物自体のクオリティや値段は、自分の中の一定のラインさえ越えれば僕らの中ではそこまで大した問題では無い。


このパンツを手に取る人も同様に「かっこいいパンツだなあ。」なんて簡単な気持ちで手に取ってもらう事が出来たら嬉しい。

穿いた結果、欲しい人は買えばいい。
欲しくない人は買わなくていいと思う。





目の前の物を単純に物として売るのには限界がある。
気分を単純にノリや感覚として売るのは軽率で危険な行為だ。

今の僕らにとっては、
体の収まりの良さだけでなく、心の収まりの良さを感じさせてくれる洋服こそが「良い洋服」であるように感じる。

物に物質的な要素だけでなく、精神的な要素を与えてくれる人から買い物をするのは本当に楽しい。
出来ることならば、僕らもそうでありたいと思う。





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河上 尚哉

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