ブルックリンの冬は寒い
ブルックリンの冬は寒い。
かといって、渋滞だらけ、路駐だらけ、車だらけのNYを頑張って運転する気にもならなかった。
到着してすぐ、バイクに乗った女の人がマンホールに滑って大ゴケしているのを見て、その気持ちは更に固まった。
地下鉄も最初は全然使いこなせなかった(最後の方はちゃんと覚えた)ので、地下鉄に慣れるまで/早く行動したい時はUBERを使いまくった。めちゃくちゃ便利だった。
最初は出来るだけ歩いて行動したかったので、荷物が多すぎて身動きが取れなくなった帰り道以外は歩いてブルックリンを回った。
中台は4年前の春に買ったCLASSのBrooklynを、僕はACRONYMのシェルを着ていって「現地でフリースでも買って着てればなんとかなるだろ。」と思っていたら、なんともならない程寒かった。生まれて初めてダウンがパンパンに詰まったダウンジャケットが欲しいと思えた気がする。あと手袋。
道路が舗装しきれていない、埃まみれのブッシュウィックも寒かった。
風を遮る高い建物が何もない、地面は土埃まみれで空気も悪い。
下からは土埃が舞い、上からはみぞれが舞っていた。
生まれて初めて洋服のフードを有効活用出来た。
「世界最大の経済大国であるアメリカの、同国最大の都市」だなんて思えない程、NYの路上は汚かった。
毎朝ホテル近くのベーグル屋でベーグルとコーヒーを買い、路上でジューイッシュに紛れながらベーグルを食べコーヒーを飲み、昼間は各地で適当な飯屋に入る度に後悔し、「必ずトイレがある」という理由だけで入るスターバックスのコーヒーの大きさに辟易し、夜は各地で適当な飯屋に入る度に後悔していたけれど、全体的にはとても満足できた旅だった気がする。
渋滞中のタクシーの中から見るマンハッタンの光は美しく、最初は不気味に感じていたジューイッシュも三日目にはチャーミングに見えるようになった。滞在中に食べた食べ物で一番美味しかったのは、ホテルのしょぼい調理器具で作ったポークソテーだ。
「どうせ近くに佐川急便とかあるだろ。」なんて甘い気持ちで下調べもせずにホテルを決めて、何も考えずに買い物だけしながら過ごしていたところ、現実的な日本への輸送手段が「そのまま帰りの飛行機に乗せて一緒に帰る」以外選択肢が無いことに途中で気付いた。
パッキンに荷物を詰め終えて、最後の方はもうやることが無かったので中台と二人でマンハッタンを観光することになったはいいものの、やはりやることも喋ることも無かった。
特大パッキン6個、スーツケース2個、計200kg強を手荷物で持って帰るのは想像以上に過酷だった。
日本に着いてから税関を通すのも面倒だった。関税、消費税、高い。
元同僚の大谷くんに「荷物積むからハイエース借りてきてよ。」と、伝えて成田空港まで迎えに来てもらったところ、通関に思った以上に時間がかかり3時間くらい待たせてしまって申し訳ない気持ちになったけど、彼がシートを倒せないハイエースを借りて来たせいでその場でパッキンを開いて洋服を無理やり車に詰め込むという作業の過程を経て、彼に対する申し訳ないという気持ちは全て消えた。
大谷くんが運転するハイエースの中から見る東京の夜景は、暖かい。
10日間という短い滞在の感想を僕から誰かに伝えるとするならば一言。
「ブルックリンの冬は寒かった。」
ちなみに中台がこのウルトラスエードのスノーパーカ:BrooklynをNY:ブルックリンに着ていったのはただの偶然。
彼が洋服のモデル名を覚えているわけも無いし、CLASSがこのモデルに「Brooklyn」と名付けた理由を知る由も無い。
CLASS 2016S/S シーズンにラインナップされたウルトラスエードのスノーパーカ:Brooklynを復刻して作ってもらった。
昨年の11月頃、中台と二人で行ったNY:ブルックリン。
「やっぱり良い洋服だよなあ。」
これは10日間程、Brooklynを着ながら過ごしていた中台を見て、改めて感じたことだ。
僕がこのウルトラスエードのスノーパーカを改めて欲しい/紹介したいと思った理由は、「どの背景にも溶け込み、どんな景色を背にしてもその場に違和感を残すから」である。
洋服の面白さは、同じ洋服でも違って見えるタイミングがあること。
場所が違う、明るさが違う、時代が違う等、大小様々な要因で捉え方が変わる。
CLASS:Brooklynは、その面白さを伝えてくれるものの一つになってくれるかもしれない。
※CLASS:Brooklynの発売は11月13日(金)を予定しています。
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河上 尚哉
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