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” cantate for MANHOLE ” – Barathea Pleats Trousers –



” モノクローム “

” ULTERIOR for MANHOLE “





黒にも色んな黒がある。
例えば、MANHOLEのカウンターに乱雑に置かれている黒い小物だけでもたくさんの種類の黒がある。


montblancのレジンの黒。
オイルの蓋のプラスチックの黒。
置き時計のプラスチックの黒。
携帯の充電器のプラスチックの黒。プラスチック多いな。
ハサミのゴムの黒。
空気の黒。





言うまでもなく、洋服にもたくさんの黒がある。
書ききれない程たくさんの黒がある。

写真の2本の黒いパンツはいずれもcantateのウールトラウザーズ。
左の青い黒が今回の別注。
右の緑の黒がインラインのモデル。





半年前、「このGREEN/BLACKのウールモヘヤのトラウザーズ、河上さんが気に入ると思って作ったんですよね〜。」と松島さんに言われた。
リップサービスかもしれないけど、僕は単純なのでそんなことを言われると気になる。
確かに明らかに緑がかった黒は僕の目を引いた。
黒い洋服から意識が遠のいていた僕の気持ちを、また黒に引きずり戻す。

ただ、MANHOLEではインラインのモデルを湿度が出てくる時期にお客さんに提案したい。
風になびくような、軽やかなウールモヘヤの生地は。
夏場のベタつく空気が体にまとわりつくタイミングにこそ、本当の良さを穿く人に感じさせてくれる気がする。

これから始まる三寒四温の時期から初夏にかけては、暑くも感じず寒くも感じない合物の生地を穿いて季節の移り変わりを楽しみたい。





そんなことを考えていた際、「モヘヤバラシアという生地を、次のシーズンに向けて考えています。」と、松島さんから伝えられた。

畝織りやナナコ織り、朱子織の要素を持つ変形組織。
色々と話を聞いている内にぼんやりとイメージが浮かんでくる。






と、いうわけでcantateに黒いトラウザーズを作ってもらった。
ほぼほぼお任せで進み、僕も納品時に初めて物を見る。
想像通り、いや、想像以上に男前なパンツになった。

縦糸に2/60のメリノウール、緯糸に1/24のモヘヤ50%の糸を打ち込んだモヘヤバラシア。
古くからフォーマルウェアやスーツ/パンツをはじめ軍服などにも用いられる特殊な織り組織を用いた端正な生地。

股上の深い2インプリーツ。
シルエットはワイドテーパード。
一見スラックスのように見えるけど、ウェストはチェーンステッチ、ヒップ/インシームは巻き縫い。シンプルながら破壊的なディテール。


上品で端正な顔だけじゃなく、野趣な一面もある。
裾はフラシなので、どう仕上げるかはその場でお客さんと一緒に考えたい。







MANHOLEに向けて僕が選ぶパンツは裾が揺れるエレガントなトラウザーズや、どこかかわいさの残るパンツが多かった。これは完全に僕の気分によるものだ。


プリーツ入りのトラウザーズが定番化した今、改めて紹介したいと思える。
この男前なトラウザーズで、MANHOLEの新しい顔を見せられるかもしれない。






黒 / 白 / グレーのモノクロ写真。
本当はどんな色だろうか。

作りがどう、形がどう、色がどうは、実際に触れ、見て、着てみないとわからない。
僕らは「生地 / 作りに拘っている(らしい)洋服」が目の前で「その人にとってかっこいい洋服」に変わる瞬間が見たい。



” cantate for MANHOLE “
– Barathea Pleats Trousers - ¥45,000+TAX-





※cantate for MANHOLE – Barathea Pleats Trousers -は、2月19日(金)に発売致します。


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河上 尚哉

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