(たまには)無理矢理でもいい。
古着のユーロデニム(本作はカツラギ)と、BLESSが定番的にリリースするスリムテーパードスラックスをドッキングさせたパンツ:JEANSFRONT。
よく見かける「縫製が〜、生地が〜、作りが〜。」という世界観とは対照的なパンツ。
全体の一部分のみに注目してしまうと、このパンツが「美しい/かっこいい/魅力的な洋服」には到底見えないだろう。
なんせ、ごわごわした古着のデニムと糸の細い艶やかなウールの生地を無理矢理縫い合わせている。
それにより、おそらく「美しい/かっこいい/魅力的な洋服」には絶対に存在してはいけないような皺、ねじれ、荒さが生じている。
と、一見ネガティブに見える紹介だけど、別にそんなつもりはない。
この洋服は「着ること」により、その真価を発揮するのだ。
着るために作られた洋服だから当たり前なんだけど。
その当たり前が「〜だから良い」等の様々な記号的情報のカーテンに隠され、発見しづらくなっている気がするのは、僕らだけだろうか。
吊るされた状態では、全くわからない。
手にとって細かい部分を見るだけでは、絶対に伝わらない。
JEANSFRONTという一つの物、そしてそれを着る人がいてはじめて。
このパンツは誰かにとっての「美しい/かっこいい/魅力的な洋服」に変化するはずだ。
もちろん、BLESSは「縫製が〜、生地が〜、作りが〜。」という部分部分に拘った物作りも出来るだろう。
だけど、このパンツを見る限り、彼らがそういったテクニックに価値を見出しているようには思えない。
BLESSのデザインチームは「自分以外の他人によって定められた価値観」を、自らのコレクションを通して、いとも簡単に破壊する。
一見複雑に見えるけど、彼らが作る物に複雑な要素はあまりない。
直感的に。
無邪気に。
目の前にある物でただひたすら遊んでいるようなBLESSの物作りは、何かで固められた僕らの頭をほぐし、いつの間にか勝手に背負っていた肩の荷を、少しだけ軽くする。
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河上 尚哉
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