他人のバランス

こんにちは。
MANHOLEの中台です。
アメリカのスリフトに行くと時々見かける、変なレングスのパンツ。
数年前に見たのは、どう考えても短い、ラルフローレンのチノパン。
短パンと言えるほど短くもない、中途半端で一番不人気なレングス。
気まぐれで「なんかいいかも。」と思えたので、ラックから抜くと、その後も全く同じレングスのチノパンがどんどん出てくる。
結局30本くらい発見して、全部買うことに。
おそらく、全て同じ人が手放したものだと思われる謎のレングスのチノパン。
わざわざ裾上げしてあったし、その人にとっては完璧なバランスだったのだろう。
僕は自分で穿いた時の、”他人のバランス感”が妙に気に入ったので、そういう穿き方を提案したんだけどあまりウケず。
僕の思いとは裏腹に、小柄な人からの「こんなに丁度良いパンツは初めてです。」なんて声も多く、非常に喜ばれて、すぐに売り切れたのを覚えている。




少し前に入荷していたCLASS : GUM TREE。
このデニムパンツも僕がアメリカで発見したチノパンと同様に、変な長さ。
あの時感じた、他人のバランス感を思い出した。
ローライズ気味な、浅い股上の違和感も久しぶりだ。
なんとも言えないインディゴの色味も面白い。
シンメトリーに斜行させた作りは、いわゆるオーセンティックな古着を単純にイジっただけではない、「デザインされた洋服」であることを感じさせてくれる。







さて、しばらく大人しく店頭に並んでいたGUM TREE。
きっと誰もが、無意識のうちに、これは自分には合わないものだと判断して、試着すらしようとしなかった。
確かに合わない。が、それもまた楽しい。
このBLOGで何度も書いていることだけど、合わなくてもいいんですよ。
この「合わなくてもいい。」というのは洋服に限らず、全てのことに関する楽しみ方の一つとして、必要な感覚だと僕は思う。
中途半端な丈がF.LLI Giacomettiのダブルモンクストラップシューズによく合う気がする。
最近の僕たちはすそ幅の広いパンツに合わせたくなる靴だけど、このパンツは半ば強制的に、新しい可能性を与えてくれそうだ。

” CLASS “
– GUM TREE – ¥35,200-(tax included)
このパンツを勧めるたびに「え〜、僕には短くないですか・・・?」と言われるけど、このパンツは短いからいいんです。
例えば「レングスが短い = 自分には合わない」という謎の方程式を捨てることが出来れば、サイズに対してもっと寛容に、目の前の気になる物を、もっと好きになることが出来ると思う。
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中台 竜郎
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