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なにかが出ている



なにかが出ている






僕らはなにも(値段が)高い洋服が欲しいわけではない。

かと言って安い洋服が欲しいわけでもない。
自分の買い物において「お買い得感」はさして重要じゃない。
頭で納得するだけではなく、体が収まり、心も満足すればそれがいい。

その際出会った「それ」が高い洋服だった場合。
「これはこれくらいしてもしょうがない。」と、クオリティ云々/雰囲気云々/売る店、売る人、作る人云々/その時の状況云々を取り巻く全体的なムードを。
頭で受け入れ、体で楽しみ、心で許すことの出来る自分になりたいのだ。
出来ることならば「これはこれくらいしてもしょうがない。」と判断した結果、買うことの出来る自分になりたい。

表向きはクールに装っているけど内心ドキドキしながら、明日からの生活のことなんてどうでもよくなるような、歯を食いしばりながらカードを差し出すような、帰り道に高揚感と罪悪感とやる気が入り混じるあの複雑な感情を覚えるような買い物がしたいし、そういう買い物に相応しい物を探したい。

漠然と欲しがることは誰にでも出来るけど、実際に欲しいものを探すのは誰にでも出来ることではない。
目の前の物を欲しがることは誰にでも出来るけど、実際に買うことは誰にでも出来ることではない。
考えることは誰にでも出来るけど、実際に何かを決めることは誰にでも出来ることではない。

僕らは自分で動いて得た五感と五感以外の何かを信じて判断し、この先に起こる様々なことを決めて次に動いていかなければならない。

音楽を聴くこと、本を読むこと、写真集を買うこと、映画を見ること、美術館に行くこと、旅行に行くこと、車を運転すること、運動をすること、食事をすること等、普段の生活において日常的に、あるいは非日常的に行うことは、自分の五感と五感以外の何かを成長させる為の手段となる。

日々洋服を着る/あるいは着ないと「選ぶ」ことは、その手段を楽しむ為のサポートとなり、いずれ手段に取り替わり、時には目的にすら変化する。

僕らは安かろうが高かろうが、洋服が好きだ。
お金になんて、負けていられない。






今日紹介するのはCLASSのEULALIA。
なにかが、出ている。

昔の僕だったら値札を見た瞬間にそっとラックに戻していたはずだ。
吊るしのカジュアルシャツで19万円に税。

が、今はその「なにか」を漠然と感じることが出来たからお店に並べることにした。






ミャンマー/インレー湖で作られる蓮繊維で織られた布:ロータス。
このシャツはロータスの生地を用いている。
シルク47%、ロータス53%の混紡糸。取り外し可能な襟はカシミヤ。

「蓮は泥より出でて泥に染まらず。」
泥沼に生えながら一滴の泥も纏わず開花し、泥水の中で育つからこそ美しく大きな花を咲かせる蓮華は、仏教のシンボルだ。
極楽浄土に生える花。苦しみや煩悩が泥、蓮華は悟り。

特に煩悩にまみれてそうな人間が働くMANHOLEに、このシャツが並ぶことになったのは何の因果か。
唯一汚れの数が少なかったはずの悠人も、最近は煩悩にまみれている姿をよく見かける。





ロータスは、高僧が袈裟に使う生地。
きっと、この生地で作られる洋服の着方にルールやシーズン性なんてない。
着たいときに着たいように着ることが出来る。
買った人ならば。



” CLASS “
– EULALIA – ¥209,000-(tax included)




僕らは洋服が好きだ。
着たことが無いものは着てみたいし、見たことが無いものは見てみたい。
触ったことが無いものは触ってみたいし、聴いたことが無いものは聴いてみたい。
欲しいものは欲しいし、欲しいものが無かったときなんて今までの人生において一度も無い。
「欲しいものが無い。」なんて言っている人から買う洋服はきっと最高につまらないと思う。
だから、僕らは自分が欲しいものを常に探す。洋服以外の物でもなんでもいい。
幸いなことに、たくさん溢れてくる。お金は常に無い、けど楽しいからそれでいい。

煩悩にまみれ、煩悩に悩まされながら動き、煩悩の先に向かうことで形に出来る何かがある。
例えば、洋服のデザイナーさんだったら最終的に自分が作る洋服へ。
僕らだったら自分たちの日々作り上げる店へ繋がる。
残念ながら、まだまだ終わりは見えない。



泥にまみれた僕らが、悟りの花を咲かせる日はいつか訪れるのだろうか。





「スピリチュアルなシャツです。」
CLASSのデザインチームは笑いながらそう言った。

洋服は自分の心の内側にある形にならないぼんやりとしたものを輪郭づける術となり、きっかけとなり、人の言葉を理解する手段にもなる。

洋服には「洋服という物」以外の要素が詰まっていることがたまにある。
その「なにか」を自分で受け取り、考え、自分の外の動きに繋げることが出来れば僕たちは。

もっと、目の前の物を、楽しめるのかもしれない。







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河上 尚哉

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