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どれでもいいし、どれも良い。




昔から「〜しなければならない。」というのが苦手、というか違和感しか覚えなかった僕らにとって、今はなんとなく生きやすい。

MANHOLEというお店を持つことにより。
何も考えず誰かの思惑に従うだけではなく、「従う/従わない」を含めた先と後を考え、選び、自分から動けるようになったのだ。

先生から名前を呼ばれたら「手を挙げて元気に返事をしなければならない。」
起立、着席、礼と言われたら「起立、着席、礼をしなければならない。」
友達は「作らなければならない。」
将来に向けて目標を「設定しなければならない。」
絶対に目標に向かって「頑張らなければならない。」
この日までにこれを「提出しなければならない。」
彼女の誕生日は「祝わなければならない。」
レストランで食事中、突如照明が消え、他所のテーブルでバースデーソングが流れ始めたら「祝福しなければならない。」
レストランで食事中、突如照明が消え、自分のテーブルにバースデープレートを持ってこられたら「周りから祝福されなければならない。」
何かに備えて「貯蓄をしなければならない。」
お客さんにはいらっしゃいませと「言わなければならない。」
上司や先輩の言うことは「聞かなければならない。」
会社の規則には「従わなければならない。」
会社の飲み会には絶対に「参加しなければならない。」
上司には酒を「注がなければならない。」
色んな人との人脈を「築き上げなければならない。」
この冬は絶対にこれを「売らなければならない。」
この場所にはこの洋服を絶対に「着ていかなければならない。」
こういうバランスにはこういうバランスを「組まなければならない。」
この色にはこの色を「合わせなければならない。」
お店は長く「続けなければならない。」

「しなければならない。」という大人たちからの強制は、本来周りと生きやすい社会を過ごす為の優しさだったのだろう。
道を行ったり来たりしてる内に、優しさが薄まり形を変えてしまう。

僕らは大人と呼ばれる年齢になって暫く経ち、気付いたらおじさんになっていた。
おじさんの僕らにとって今、日々目の前に浮かび上がるほとんど全ての選択肢は「しなければならない」ではなく「した方がよいけど、本人さえ気にしなければしなくてもいい。」ものである。
更に、わざわざ他人を不快にする必要はないが、目の前の人に喜んでもらうために、自分が気分良く毎日を生きるために。
僕らは「しなければならない」方法以外に「した方が良い」別の方法を考え選び実行する権利を持っている。

本当はおじさんになるもっと前、人間として生まれた瞬間にその権利に気付いておくべきだったのだろうけど、今更そんなことを言ってもしょうがない。

ちなみに、上記の簡単に思い浮かんだ「しなければならない」を羅列している最中。
僕も中台も項目の半分以上に対して素直に従ったことが無いというか出来なかったことに気付き「なんて生きづらい人生を送ってきたのだろうか。」と、うなだれている。
別にいいけど。今が楽しいからどっちでもいい。





先に紹介したFG208 / FG577とは一見違う毛色のブーツを仕入れてみた。

木型はViora TR。
甲革フレンチカーフ / ハンドソーングッドイヤーウェルテッド / レザーソール / ポインテッドトゥ。
脱ぎ履きしやすい3アイレットのチャッカブーツ。

古着も含めると色んなシルエットのパンツが並ぶMANHOLE。
更に、今はこれといってパンツのトレンドがない。
パンツのトレンドが無い = 靴のトレンドもない。

実は今、履きたい靴が履きたいように履ける良い時期です。
本当に好きだったら、そんなに変わらないんだろうけれども。





ご覧の通り、ズルズルした長さの裾幅の広いパンツも。
他人から譲り受けそのままのレングスで履いている、暫く時代から取り残されたノープリーツのスリムテーパードのパンツと合わせても、今の気分になんとなくマッチする。
レングス長め、裾幅細めのスリムストレート。
すっきりしたレングスで裾幅の広いストレートシルエットのパンツなんかも想像がしやすい。

つま先の反り上がった靴以上に見向きもされなかったポインテッドトゥの靴。
今なら、改めて受け入れることが出来るはず。



F.LLI Giacometti
” FG428 Viora TR ” – Chukka Boots –
[ Chateaubriand Nero ]
¥110,000-(tax included)




つま先が細かろうが丸かろうが四角かろうが。
ソールがゴムだろうがレザーだろうが薄かろうが厚かろうが。
色が黒だろうが茶だろうが変な色だろうが変な革だろうが。
僕らは「どれでもいいし、どれも良い。」と言えるようになりたい。

幸いなことに、装うこと自体も今、更に。
「〜しなければならない。」ものでなく「〜した方が良い。」というものに変化している。

その変化に身を委ねている内に(例えば)冒頭の「かつて嫌だったこと」は「別に悪くはないもの」くらいには変わり、いずれ本来の優しさを取り戻すのではないだろうか。





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