なんで、こうなった。
なんでこうなったのかわからないジャケット。
きっと、このジャケットの製作を依頼された毛抜き合わせの工場の人も「なんでこの人はこんな作業を自分たちに依頼しておいて、最終的にこんなことをするんだろうか。」という疑問を押し殺しながら、頑張って作ったに違いない。
なんでこうなったのかはわからないけど、洋服の良い点は「なんでこうなったのかはわからないけど、ちゃんと目の前に物はある。」ということだ。
作った人(デザイナー)の頭の中を開くことは出来ない。
仮に開けて中身を覗いてみても、きっと理解は出来ないしする必要もない。
だけど、洋服は目の前にある。
目の前にあるそれ。
手に取る人にとってかっこよければ買えるし、かっこよくなければ買えない。
単純明快で清々しい。
そこから先、作った人にはわからない領域。
そのデザインに対してどう思うか、どう意味を見出すのか、わからないものがわからないものとして終わるのか、どこかに(自分なりの)答えを見つけ出すのかは着る人にしか考えることが出来ない。
裏地のつかない軽いふんわりとした仕立てを目的とする毛抜き合わせのダブルフェイスストレッチウールのジャケットに、ぐるりと縫い付けられた重たいダブルジップ。
余裕がある時に、使い方を考えてみてください。
少なくとも今の僕にとっては。
ジップを開かずとも、このジャケットの面白さを感じることが出来ています。
というか、ジップを開けた時のことを考える余裕がない。
だって、開けなくても十分格好が良い。
いずれジップを開けた時。
パーツを外した時。
その外したパーツを付け直した時。
再度、ジップを閉めた時。
改めて「なんで、こうなった。」の「なんで」の部分に新しい答えが生まれるのではないでしょうか。
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河上 尚哉
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