続・なんで、こうなった。
昨日の河上曰く、
「なんでこうなったかわからないジャケット」。
こんにちは、鶴田です。

実際に着てみたらこうなった。




ばらばら寸前、じゃん。
なんで、こうなった?
それは堀切さんのデザインのせいでも河上のブログのせいでもない。
全部自分のせい。
このジャケットにジップが付いているせいではない。「ジップが付いた服があるのなら、開けてみたい」と普段から思っている自分のせい。そして、そのジャケットは僕の目の前に現れた。

3年前に買った、同じ仕様(毛抜き合わせにダブルジップ搭載)のベストを重ねてみたのも、ぜんぶ自分のせい。誰に望まれたわけでもない、指示されたわけでもない。




” CLASS “
– CCCS02UNI A –
Size : 1/2/3
Price : ¥171,600-(tax included)
ジップが開いていても閉じていても、もしもあなたがこのジャケットをカッコいいと思ってしまったのならば、その先の行動はすべて自分のせい。
なんで、このジャケットはこうなった???
本来は見せたくない部分を見せてみようと思ったから。
ラペルのロールをいびつに崩してみたかったから。
胸の立体感をジップのカーブで表現できると思えたから。
馬乗りのサイドベンツをジップで代用したかったから。
毛抜き合わせの柔らかい生地がジップに負けるのが美しく思えたから。
作り手の意図に対して想像できる理由はいくらでもある。
しかし、受け取り手の理由は一つしかない。
「カッコいいから」と、ただそれだけ。
カッコよさの基準を、自分の中で醸造できる人。洋服の着方を人のせいにしない人。感性を発現させるために他人の理由を必要としない人。そんなカッコいい人にこそ着てほしい、カッコいいジャケット。

ユダヤ人の格言にこんなものがある。
「人は転ぶと、まず石のせいにする。石がなければ、坂のせいにする。そして、坂がなければ、履いている靴のせいにする。人はなかなか自分のせいにはしない」
「たしかにカッコいいけど、ジップをどう処理していいかわからないから選ばない」という理由は「転びそうだから歩かない」に等しい。
なんでこうなった?
そもそも洋服なんかを好きになった自分が悪い、と自己否定しながら歩く道はさぞ長くて辛かろう。目の前に落ちている石ころを蹴りながら歩き続けたら、坂道はいつの間にか峠を越えていた。蹴り方はどうだっていい。その丘から眺める景色は、歩き始めた者の瞳にだけ映る。
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鶴田 啓
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