肌と皮膚
NICENESSから素敵なニットが届いた。 こんなに素敵なニットを見ると、春が待ち遠しくなるなぁ。
って、鶴田です。
編み込み柄も、ネックラインも、肌触りも特徴があるけれど、あくまでもサラっと着てしまえそうな自然体のルックス。 僕が洋服屋に入ってから、まぁまぁ長い年月が過ぎて、まぁまぁ色んなものを見て、着てきたつもりだけど、 こういうアイテムを作らせたらNICENESSは流石だなぁ、といつも感心してしまう。
カディ素材のシャツやスウェットパンツと合わせてざっくりと着てみた。気持ちイイ。
ところどころに漁師用ニットのディテールが見え隠れしているけど、トライバルな編み込み柄のせいかフィッシャーマン一辺倒な全体感にはならない。あとは、素材。柔らかなシーアイランドコットンを糸の芯に使いつつ、その周りをリネン糸・シルク糸で巻いてあるらしい。柔らかと滑らかとザラザラが同時に感じられるこのタッチは、癖になりそう。
やっぱり、気持ちイイ。
河上も着てみた。彼は、このニットを「タンクトップの上からざっくり着たら気持ちイイだろうなぁ」と思って買い付けたらしい。
「で?どう、感想は?」
「チョー、気持ちイイです。欲しいです」
良かったね、河上。
そうそう、このロールネックニットというアイテムは僕が15~16歳のころに流行ったので、個人的には少し懐かしさを覚えてしまう。当時はオフ白やベージュなどナチュラルカラーのものが多く、それにスウェットパンツを穿いて足元はイエローヌバックのティンボを合わせる着こなしが代表的だった。
偶然、今日は僕も河上もロールネックのニットにスウェットパンツを合わせているけれど、当然ながら90年代前半と今とでは時代の空気感が違うし、僕らの着こなしも違う。勿論、NICENESSのこのニットは当時の焼き直しなんかじゃないし、2022年の空気感を存分に含んだアイテムだと思う。デザイナーがデザイナーたる所以は、現在の空気感や現在の空気感の中で生きる自分自身に敏感であるという点にある。それは時代に対する「肌感覚」。
「肌感覚」が時代とともに変わる一方で、時代が変わっても変わらないのは人間の「皮膚感覚」。 それは衣服が身に着けるものである以上、永遠の命題でもある。 ファッションは着心地がすべてではないけれど、 僕や河上がこのニットを(気持ちイイ)スウェットパンツとコーディネートしたのは、きっと着心地の必然に引っ張られたからだと思う。 それでも着こなしは同じにならない。お互いが、お互いの肌をもっているから。
「肌」と「皮膚」。
似て非なる二つの感覚を頼りに、僕らは洋服を着ている。
だからこそ、NICENESSが作るアイテムのように「皮膚感覚」と「肌感覚」を兼ね備えた洋服を見ると、いつも僕は感心してしまう。
このニットは肌と皮膚の両方で感じてみてほしい。
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鶴田 啓
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