堂々と、コート
春のコートは楽しい。
世の中「もうこれ以上、モノは持たない」と言う人もいるけれど、3月が終わりに差し掛かる頃、唐突にダウンジャケットからスウェットパーカに衣替えする行為は、やっぱり味気ない。真冬以外にコートの選択肢があることは、(体温調節という目的以上に)自分の気持ちを大切にする上でも、生活に潤いをもたらしてくれる。
ということで、MANHOLEの店頭にもこの時期から活躍するカッコいいコートが並んでいます。
春に着るコートが大好き、鶴田です。
このコート、生地が良くて、パーツが良くて、ディテールが良くて、縫製が良くて、色が良くて、形が良い。
というか、展示会で初めて出会った10年前から S.E.H KELLYが作る洋服はずっとそうだった。 生地が良くて、パーツが良くて、ディテールが良くて、色が良くて、形が良い。
これは、土が良くて、水が良くて、種が良くて、育て方が良い野菜みたいなものなので、食べれば美味いに決まっている。「まずは、そのままどうぞ。次に、塩と少量のオイルで」という食べ方でも、きっと十分過ぎるくらい美味いだろう。よけいなドレッシングは要らない、みたいな
そういう食べ方も決して間違いではない。
けれど、(しばらくのお休みを経て)僕が久しぶりに会ったS.E.H KELLYの洋服は先ほど羅列したような「良さ」に加えて、なんだか「ノリの良さ」をも兼ね備えていた。全体の印象を左右するような部分が劇的に変わったわけではないのに、昔とは印象が全く違う洋服に見える。昨年の秋に、河上と一緒に行った展示会で2022年春夏のサンプルを見ながら僕は思わず声に出して言ってしまった。
「なんか、めちゃくちゃ良くなってるじゃん!S.E.H KELLY」
「ですよね、僕もそう思います」
塩とオイルだけの日も勿論あっていいけど、これはなんかもう、マヨネーズとかバーニャカウダとか何とか、色んなアレンジで食べてみたくなるような野菜、もとい、洋服たち。
僕はレジメンタイやカーディガン、デニムパンツで。
河上はネイビージャケットやグレーフランネルのパンツで。
このコートに、あらゆる味付けを受け止めてくれそうな懐の深さが感じられるのは、やっぱり「モノ自体がいい」から。 生地が良くて、パーツが良くて、ディテールが良くて、色が良くて、形が良い。
表地は撥水機能を備えた「Shower Proof」と呼ばれる目が詰まった軽量コットン。大き目のフードやハイネックな首周り、シングルの割に深い前合わせ。重量感のある真鍮のベルトバックル、ドットボタンで二段階調節が可能なカフス、使い込むと味が出るリアルホーンボタン。「ADMIRAL(提督)」という名前が付けられた、曇ったトーンのブルー。雨/風除けのクラシックな機能や英国アイテムらしい質実剛健ムードは、あるいはモノフェチの人々に響くものかもしれない。が。
別にモノ自体を崇拝する必要はない。モノが良いからこそ、着る人それぞれの味付けで堂々と着てほしいし、このコートは僕らの「ノリ」にどこまででも付き合ってくれそうな気がする。
ちなみに、後ろ姿も抜群にカッコいい。
良いコートは後味も良いのだ。
MANHOLE ONLINE STORE
MANHOLE official instagram
鶴田 啓
〒107-0062
東京都港区南青山4-1-3 セントラル青山003号室
M : info@manhole-store.com
T : 03 4283 8892