出口はここ。

ルールはまだいい。
全く無いよりある方が、その後ルールを破っていく/作っていく/振り返ってみる事を含めて、自分で楽しむことが出来る。
ただ、人の血が通っていない、聞きかじったようなセオリーはどうにも苦手だ。
〜だからこうなる。この〜は〜だから美しい。〜に〜は合わない。〜だからこうした方がいい/こうしなければならない。〜な人にはこう対応した方がいい。
確かにそうなんだろう。
知らない物、行ったことのない場所、初めて会う人、今までやっていなかったこと。
誰だって新しく行うことは上手くいった方が、正解した方が気分がいいし、それに頼った結果仮に上手くいかなかった/失敗した際はそのセオリーのせいに出来る。
だけど、本当にそれは上手くいっているんだろうか。
自分にとってではなく、誰かにとってなんとなく上手くいっているだけなのではないだろうか。
正解に当てはまらないものは全部失敗なんだろうか。
言われるがままに行う自分の人格は、どこに消えるのだろうか。



洋服の面白いところはセオリー通りにはいかないところだ。
セオリー通りに進んでみても、その人のもつキャラクターが良い意味で邪魔をする。
例えば、同じような背格好の人が全く同じ格好をしても全然違う見え方をする。
銀幕のスター / 写真に映り込む過去の一コマ / MVで踊るミュージシャン / ドラマの中の人 / 雑誌にレイアウトされたスナップ写真 / 街角で見かけた妙にかっこいい人。
それに憧れて同じ格好をしても憧れ通りにはならない。
むしろ理想が頭の中に強く刷り込まれているだけに、「これじゃない感」を強く覚えるかもしれない。
ただ、それは決して悪いことではない。
「自分には似合わないかもしれない。」と、立ち止まってしまうよりも「好きだから、かっこいいと思うから、着てみたいと思うから。」と、試してみることの方がよっぽど前向きで、むしろ自分が経験したことの無い何かに興味をもつ良い機会だ。
大切なのは、「自分は自分以外の何者にもなることが出来ない。」と、気付いてからどう動くかだと思う。
他人のセオリーを信じすぎるとそれに気付くことが難しい。
一方「好きだから、かっこいいと思うから、着てみたいと思うから。」と突き進んだ場合、どこかのタイミングで当時の自分とは違う何者かになっているかもしれない。
洋服の良いところは、そういった自分の変化に気付くことが出来る点だ。
好きなものはそう簡単に変わらない。
変わらないけど、好きなものを増やすことは出来るはずだ。









男性の買い物は、物に対する理由や裏付け / 自分を納得させる言い訳等、様々なきっかけが必要だ。
僕らもそういうややこしい何かに縛られ続けている。
ただ、時にはそういう「ややこしい何か」から自分を少しだけ解放してみること。
「ただ、なんとなく良いと思う。妙に気になる。昔は嫌だったけど今は許せる。」と、感じた際に素直に受け入れてみることが必要なのかもしれない。
何かの誰かのどこかの「自分が知らない良さ」は。
自ら避けてきた、欠けてしまった部分にこそ、見つけることが出来るのだろう。

僕らはしばらく、自分たちがなんとなく避けてきた結果として出来た穴。
それを一つずつ覗き込んで楽しんでいる。
今までやってこなかったことや出来なかったことは、これから始めればいい。
そう考えると、何かを避けることはきっと悪いことじゃないんだと思う。



” renoma ” – CHARONNE –
COLOR : NAVY
SIZE : 44/46/48/50
¥132,000-(tax included)
長く続いた暗い冬道の終わりとともに。
テーラードジャケットに春の光が訪れたことを、感じないだろうか。
どれがカジュアルどれがドレス、どれがクラシックでどれがモダンかなんて物単位でのジャンルの線引きは、最早過去のもの。
ただ、ルールを毛嫌いするのも稚拙。規律無き自由なんてクソだ。
定められた道があるからこそ、人は横道に逸れていける。
いかに入り口でフォーマル/ドレス/モード/カジュアル等の交通整理がされていようと、僕らは自分の行き先次第でいつだって道を逸れるし、どこにだって出口を見つけることが出来る。
戦う相手はいつだって、何かに映る自分自身の姿だ。
不安だったら引き返せばいい。自信があれば外に出よう。
幸運なことに今、東京の雑多な街並みはそれを受け入れてくれる。
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