107-0062
central aoyama #003
4-1-3 minami aoyama minato-ku,tokyo

W : manhole-store.com
M : info@manhole-store.com
T : +81 34283 8892

blog

穴/のぞき



MANHOLEの店内にぽっかりと開いている、ひとつの穴。

穴。
あな。
ANA。
HOLE。

これは何?

こんにちは、鶴田です。

なんだかわからない。


まだ、わからない。


ますます、わからない。


いよいよ、わからない。



” CLASS “
– CCCS04UNI A –
Color : Beige
Size : 2/3
¥141,900-(tax included)



CLASSから届いたウルトラスエード素材のブルゾン「 CCCS04UNI A 」は一見ベーシックなフライトジャケットをモチーフにしているようでありながら、ひとたびディテールそれぞれの不可思議さに目を奪われると、洋服自体から次から次に繰り出される違和感の連続パンチに、見る者は思わずノックアウトされてしまう。

様々なタイプの洋服を着てきた人や見てきた人、或いはたくさんの洋服を作ってきた人からすると尚更、この違和感の集積をもう一度まっとうな軌道に戻すことがいかにも難しいことに気づくだろう。

唐突に開けられた背面の穴は、まるでそれら連続する違和感の象徴であるかのようだ。


まずは、まだ若いが故に(おそらくは)僕よりも汚(けが)れが少ないであろう20歳のゆうとに着てもらった。



全体を同系色/無地でまとめてサラリと。



目出し帽の穴からこちらを覗いてもらったが、意外と普通に馴染んでいる。キラキラの瞳。アジアの純真かよ。



フラットシーマで縫い合わされた静かな全体感の中で、肩のシームだけが唐突な存在感を放っている。まるでサンフランシスコにあるロックスター御用達レザーブランドのように平たい革ひも(ウルトラスエード)でクラフト的に接合された立体感。局地的70’s。



パッチポケットやフラップのカットは生地の断ち切りゆえに極めて直線的で、ミニマルな建築物を思わせるような無機質の連続。何よりも、風よけはあるのにフロントジップが排除されている前合わせの圧倒的な直線。



20歳の背中にぽっかりと開いた、穴。空洞。



40歳超えの鶴田は、いつものようにシャツ+タイ+ウールパンツの上から羽織ってみた。










中綿入りのCWU-45とは異なり一枚仕立てなので、生地の張りはあるけど膨らみはない。ショルダーラインの素っ気ない丸みやポケットフラップ裏の小さすぎるベルクロ留めがミリタリー特有の力強さをニュートラルな脱力感へ導いている。そして、何よりも背中の穴。鶴田の場合はカラフルなストライプ柄が覗いている。



ゆうとと僕の中間、30代前半の中台。


ウルトラスエードの奥に縮緬状のラミー、その奥に真っ赤なコットンポプリンが重なっている。シンプルの奥にある複雑さ、力強さ、繊細さ。



彼の背中の穴からは小刻みに震えるストライプが覗いている。

張りのあるウルトラスエードで形作られたこのブルゾンの丸く素っ気ないフォルムは、言わば空洞。がらんどうの穴の向こうから覗いているのは何者なのか。そもそも、それは人に覗かせている行為なのか、人から覗かれている行為なのか。穴を通じて向こう側の景色を覗いているのは洋服を着ている側なのか、着ている人を後ろから見る側なのか。入り口と出口の区別がない穴の中で、もはや個人の主体性は空気に溶ける。逆を言えば、出入りが自由だということ。





昨日、河上が紹介したパンツと同様に、CLASSが作る洋服は着る本人が視点をどこに置くかによって、見え方/見られ方が如何様にも変化する。ウルトラスエードのブルゾンやウールポリエステルのパンツが見せるニュートラルな表情は、多様性という名の膠着状態に強靭なカウンターの風穴を開けるのではなく、隣の世界へ一歩足を踏み出してみたくなるようなのぞき穴の顔をしている。それは強制力ではなく誘(いざな)いであり、そもそもファッションが持っていたはずの大きな力なのだ。







MANHOLE ONLINE STORE

MANHOLE official instagram



鶴田 啓

〒107-0062
東京都港区南青山4-1-3 セントラル青山003号室

M : info@manhole-store.com
T : 03 4283 8892