働く男
NICENESSのジャケット「CURTIS」はコットン100%でありながら、驚くほど滑らかでしなやかな肌触り。細番手の綿糸を高密度で織り上げているので、上品な光沢すら感じる。昔の配達員が着ていたようなワークジャケットの佇まいでありながら、汗臭く粗野な雰囲気は皆無。
ワークウェア由来の上着をファッションとして着こなす場合、全体を男臭いアイテムでこってりまとめるラギッド方面と、あえてウールパンツやスカーフなどで綺麗に合わせるフレンチ方面とに大別できる。順手か逆手かの違いで、結局は「ワークウェアだから」というアイテムそのものの認識を起点にしていることに変わりはない。ミリタリーアイテムを着る場合にも、ほとんど同じことが言えると思う。
なーんて分析を読んで「ふんふん」と納得された方は、これまでにたくさんのアイテムを着てきた経験がある「服好き」の大人に違いない。
こんにちは、鶴田です。
上襟の菊穴、左胸のフラップ付きポケット、丸くくり抜いたレザーや丸カンが裏で取り付けられた力ボタンなど、ワークウェアらしい意匠がそこかしこに見えるのに、全体としてはやっぱり男臭くない。むしろ、可愛さすら感じさせる。
全体の印象を決定的に左右しているのは、やはり生地。綿100%の高密度クロス二枚を毛抜き合わせで縫合してあるので、柔らかだけどしなやかな質感。表地と裏地で微妙に色の調子を変えた(ベージュ×グレーベージュ)ダブルフェイスは揺れるたびに繊細な表情を覗かせている。とはいえ、それは決して「手間がかかってますよね」や「生地がすごいですよね」を目的としていない点で、いつも通りNICENESSのクリエイションだと言える。
つまり、生地を間近で見る前から既に表現されているということ。
冒頭に書いたようなコーディネート論でいくと、例えば強靭なツイル生地のワークジャケットをデニムパンツに合わせようものなら、いなたく野暮ったい雰囲気になることが多いけど「CURTIS」は違う。空気をふんわり含んだような軽さとしなやかさが、デニムパンツのコーディネートをタイドアップに耐えられるところまで持ち上げてくれる。
河上はいつも通りタンクトップ+カーディガン姿で「CURTIS」を羽織っているけれど、ゴワゴワ感が一切感じられないこのジャケットならば、男臭さよりもむしろ、毛抜き合わせのソフトな質感がラフなVゾーンに華を添えてくれている。
ホワイトのデニムパンツともよく似合っている。
「フランスのワークウェアブランド」とか「イタリアの作業用ジャケット」とか「イギリス鉄道員のユニフォーム」とか、ワークウェアを意識させる謳い文句は、世の中にいくらでもある。しかし、意識した瞬間から、ワークウェア着こなしのテンプレートにすっぽりとハマってしまいがちな人ほど試してみてほしい。
「CURTIS」を羽織った瞬間にまず意識が向くのは「ワークスタイルのジャケットである」なんてことよりも、そのしなやかさ、軽さ、ニュートラルな佇まい。「ジャケットを羽織っている」ということすら忘れさせてくれるような、自由度の高さ。
「CURTIS」を羽織った河上は、とても自由そうに働いている。いつもより身のこなしが軽い気がする。「CURTIS」の生地や着心地が軽いのは当たり前だけど、それよりも「ワークスタイルの着こなし、かくあるべし」的な概念に囚われない、精神的な身軽さが作用しているような気がする。
働く男のためのワークジャケット「CURTIS」。
身体の代わりに心を自在に働かせることができる、軽~いジャケット。
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鶴田 啓
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