え、GUIDI
上の写真は新品のGUIDI「PL1」。
そして、下の写真は僕が二年半むちゃくちゃに履きこんだGUIDI「PL1」。
僕はこの靴が大好きだ。
こんにちは、鶴田です。
僕はまるでスニーカーの如く日常的にこの靴を履いている。あまりにも雑に履きすぎてソールとアッパーが少し弱ってきたタイミングがあったが、ソールを張り替えたりアッパーごと水洗い(洗うのは自己責任でお願いします)したら、また蘇った。ますます好きになった。
僕がGUIDIの靴と初めて出会ったのは2005年のこと。
いや、厳密に言うと「イタリア・トスカーナ州にある古いタンナー(革のなめし屋)」としてGUIDI&ROSELLINI社の名前を知った2000年頃が最初の出会いだった。 様々なブランドに革を供給していた同社がバケッタという特殊なレザーで作る朴訥とした雰囲気のレザーシューズやベルトは当時の僕の琴線に触れることはなく、ただ単に「手作りだなぁ、クラフトだなぁ」という印象で、どこか他人目線だった気がする。
その GUIDI&ROSELLINI社が外部からディレクターを迎えて2005年にスタートしたプロジェクトがGUIDIである。圧倒的な革質の良さに加え、アーティスティックな造形・フォルムに生まれ変わったGUIDIに僕はグッと来た。当時の同僚や友人は皆こぞって最もアイコニックなバックジップブーツを買っていたが、ぼくはヘソ曲がりなのでバケッタレザーを使った編み上げブーツを選び、その履き心地に驚いた。そのブーツは15年以上経った今も定期的に履くアイテムになっている。
そして2019年、「PL1」を二足まとめて購入した僕はふたたびGUIDIの虜になった。
フロントジップという特徴的なデザインは、見た目のインパクトだけでなく甲のホールド感を確かにしながらもスムーズでスピーディーな靴の着脱を可能にしている。しなやかなHORSE GRAINを使ったアッパーは履いた瞬間から足に馴染む感覚。もう、他の靴を履くのが億劫に感じるほどだ。レザーアイテムの経年変化についてあーだこーだ言うのは好きじゃないけど、GUIDIに関しては「新品の時よりも履きこんでからの方がカッコいい」と単純なセリフで言い表すことができる。確かにレザーシューズの値段としては十分すぎるくらい高いけれど、「一生もの」というこれまた僕が嫌いな表現を使わなくても「買って履いた瞬間から、買ってよかったと思える」靴だと思う。
MANHOLEにはHORSE GRAIN/BLACKの他にHORSE REVERSE、つまりスエード面を使ったBURGANDY色の「PL1」が並んでいる。パッと見はなんとも妖しい色だが、実際に履くと印象が変わる。赤っぽい靴だと思う以前に、やはり圧倒的にGUIDIなのだ。
新品のGUIDIに足を入れるのは久しぶりだったが、やっぱりフロントジップをキリキリと上げるに従って甲や足首のフィット感が高まっていく感じは気持ちイイ。
足首に絡み付くような履き口のフィットは、見た目にも美しい。
おでこっぽく立ち上がったつま先のフォルム。指先が靴の中で遊ぶほど靴内部にはスペースがあるが、足首と甲でがっちりとホールドされているので、足全体が動きすぎることはない。
ヒールは4.5㎝。男性靴としては高い方だが360度グッドイヤー製法で取り付けられているので太さがある分だけ安定して見える。
と、ここまでフィット感やデザインについてつらつらと書いてきたが、実はそこにあまり意味がないことに気付く。
僕がMANHOLEで働き始めることが決まった頃。河上に「(入社後に)何か取り扱いたいブランドとかありますか?」と尋ねられて、僕は「え、GUIDI」と答えた。実際に自分が気に入って履き続けていることもあったし、中台も「PL1」を気に入って履いているのを知っていた。MANHOLEオープン直後のブログで河上が「革靴は実際に自分たちが履いた上で、その良さや特徴を伝えたい」と書いていたことも知っていた。だから、素直に自分たちが「この靴は最高だな」と思っているものをお客さんにも勧めたいと、当たり前のことを思う。
勿論、そういうこともあるのだが、しかし。今の世の中でわざわざ大金を払ってでも手に入れたいものは限られている。限られているからこそ、僕は「圧倒的な存在の靴」をお客さんに渡したいと思った。だからこそ、GUIDIを。
このブログの中盤で書いた商品説明やフィッティングの解説をすべて忘れてしまうほど、店頭で見るこのブーツは圧倒的にGUIDIだし、実際に足入れをした時の感触は圧倒的にGUIDIである。「PL1」を試着した瞬間に、思わず笑ってしまうお客さんは多い。人は、圧倒的なものを感じた時に、目を見張る。そして次の瞬間には笑ってしまうのだ。
MANHOLEメンバーの中では一番後に「PL1」を購入した河上だったが、彼もまた笑っていた。
どれほどの多くの言葉をここで緻密に並べ立てようとも、履いた瞬間に圧倒されるその力にはかなわない。「アルチザン」も「一生もの」も「ベジタブルタンニング」も「経年変化」も「 C-DIEM」も「CAROL CHRISTIAN POELL」も関係なく、 20年近くの歳月を経て尚、GUIDIは相変わらず圧倒的にGUIDIだった。河上の問いに、僕が0.5秒で即答した「え、GUIDI」という速さこそが、そのすべてを物語っている。
僕はお客さんに、この靴を履いて笑ってほしい。
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鶴田 啓
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