スキッパーの存在感
昨日の都内は猛暑日。時間帯と場所によっては30℃を超えたところも。街中を少し散歩したら、アイスクリーム屋に行列ができていたりして。
まだ、鬱陶しい梅雨もやってきていないのに、なんとなく涼しそうな洋服が気になり始めるころ。
こんにちは、鶴田です。




襟付き、ボタン無しのプルオーバーシャツ=スキッパー。ボタンを留める必要がないくらい開放的で暑いシチュエーション、つまり海辺が似合う夏の代表アイテム。
70年代のいなたい古着でもパイル地や化繊混のスキッパーをよく見かける、あの形。
現在、MANHOLEの片隅に並んでいるのは、オフ白が涼しげな一枚。
ほっそりとカーブした華奢な襟型。ざっくりとカタそうに見えて触ると柔らかいコットン地はセルビッジ(耳)付き。ナチュラルな白に赤・青のラインが入ったトリコロールな配色はどことなく南仏を思わせるけれど、僕は南仏に行ったことがない。それでも、日差しの下で着たら気持ち良いだろうな、と想像はできる。

– m’s braque –
” SELVEDGE COTTON SKIPPER ”
Size : ML ( ONE SIZE )
Price : ¥33,000-(tax included)
両胸に付いた埋め込み式のポケットやカンヌキ留めはワークウェアのタフネスを感じさせるけれど、実際に着てみると驚くほど軽くてしなやか、ソフトな感触。松下さんの手にかかると、ワークな質感も不思議とパリっぽくなる。

これ以上ないくらいシンプルなバックスタイル。シェイプがない四角い箱型のシルエット。生地の柔らかさがドレープにも表れている。

裾出しでシンプルに着てもサマになる。ウールパンツと合わせてもトップスが簡素に見え過ぎないのは、やはりm’s braqueのムード。


裾も袖口も胸元も開放的なので、風の通り抜けが良さそう。


鶴田はジャケットスタイルに取り入れてみた。スキッパーの裾はパンツイン。たっぷりとしたブラウジングが楽しめる。


ジャケットを羽織るとスキッパーの襟型が際立つ。ラペルに乗せても下品にならないシャツ襟って、実際に形にするのがとても難しいジャンルだと思うんだけど、松下さんが作ったこの襟にはきちんと大人っぽさと上品さが乗っていると思う。
勿論、スキッパーの上にジャケットを着る人が少数派だということを僕は知っているし、僕だってラペルの上にシャツ襟を乗せることなんてほとんどやったことがない。それでも、このスキッパーはパンツインや襟乗せを試してみたくなる。
それは、このスキッパーに「嫌味なところが何一つない」からだと思う。
よく思うことだが、デザイナーという仕事は数えきれないほどの意思決定を繰り返しながら一着の洋服をデザインする。パターン、襟型、台襟の高さ、ポケットの位置(そもそもポケットを付けるかどうかも含めて)、ステッチの種類、縫い方、配色・柄行き、生地、ジップやボタン類の選択(そもそもボタンやジップを付けるのかどうかも含めて)etc…。どこかの部分が一か所でも悪目立ちすると、それはいとも簡単に下品な洋服に成り下がってしまう。
松下さんが作ったこのスキッパーには、デザイナーが考えた洋服としての存在感が十分に備わりながらも 「嫌味なところが何一つない」 。
だからこそ、ジャケットのインナーにしても邪魔にならないし、夏になれば一枚で堂々と着ることができる。ニュートラルなのに強い。新しい服なのにクラシックな佇まいを既に内包しているのかもしれない。
主役兼脇役。
そんな存在のスキッパーを春夏のお供に是非どうぞ。個人的にもかなり好きなアイテムです。


主役級のアクセサリーとの取り合わせ。これもかなりカッコよくキマりますよ。
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鶴田 啓
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