サマームード
黒と紺の組み合わせって、メンズ服の中では最もエレガントな配色のひとつ。例えばネイビースーツにブラックカーフのシューズ、といった具合に。
その中に着るドレッシーなシャツと言えば勿論、白。
男性の最もフォーマルな出で立ちはそのカラーリングでもって完成する。「ネイビーよりも黒の方が礼服っぽいんじゃないの?」なんて声もありそうだけど。電灯が発達する前、例えば燭台の灯で見るダークネイビーは黒よりももっと深い色に見えたらしい。ミッドナイトブルーのタキシードもあるくらいなので、まんざら嘘でもないのだろう。
こんにちは、鶴田です。

半袖なのに、製品洗いなのに、なんだかエレガントに見えるシャツ。上の写真はブラック×ネイビー。ナチュラルホワイトとの二色展開。

” NICENESS “
– SLICK –
COLOR : NATURAL / BLACK.N
¥49,500-(tax included)
昔のアロハシャツみたいにクラシックで男っぽい型。でも、腰ポケットが付いているので前を開けてジャケットみたいに羽織るのも良さそう。いかにも暑い場所向きのシルエットだし、実際に着てみるとかなり涼しい。




キュプラ(ジャケットの裏地なんかに使われる、ピカピカのアレ)とリネンの縮率の差を利用して立体感を出したこの素材。市松模様の織り柄に加えてパッカリングの嵐。凹凸感の鬼。リネンの張り感、キュプラの光沢感。さらにワッシャー加工。こういう凝った生地を作らせたら、NICENESSはやっぱりスゴイ。



ブラック×ネイビーを着た河上。涼しげなのにエレガント。エレガントなのに涼しそう。こういったボコボコの素材が涼しいのは平べったい素材に比べて肌との接地面が少ないから。しかも張りのある素材。ボックス状のシルエット。シャツの2/3は肌に触れないで宙に浮いているんじゃないか、って着用感。なのにエレガント。
いいなぁ。


夏はどうしても薄着になりがちなので、せめて素材感だけでも豊かに。なんてことはよく聞く話。でも結局は全体感。ムードの話。日本の猛暑下で、無理してギャッツビーみたいな恰好をする必要はない。しかし、なぜか夏になると、秋や冬には確かに存在したはずの大事なものが町に無くなっていることに気づく。それはムード。
シワシワ素材のこのシャツに、僕はなぜだか甘いムードを感じてしまう。それは冒頭に書いたようなブラック×ネイビーの話だけではない。クラシックで男っぽいシルエットだけの話ではない。
デザイナーの最も重要な仕事は生地の選定でもディテールの決定でもなく、洋服にムードをもたらすことだと思う。そして、そのムードがディテール一発で創出されることが無いこともまた事実である。生地やディテールそのものを目的とした洋服にムードが無いのは当たり前の話なのだ。
半袖なのに、製品洗いなのに、なんだかエレガントに見えるシャツ。
このコメントは洋服屋のものとは思えないくらい漠然としたものだけど、実際、それ以上でも以下でもないと僕は思う。
そうそう、こんな甘いムードのシャツにはアクセサリーもよく似合う。


艶っぽいとか色っぽいとか、安直なディテールに乗せたその手のムードはもう要らない。洋服の奥底から滲み出てくるような雰囲気、それこそが甘いムードの正体である。つまり、プロダクトそのものの強靭さが生み出す色気みたいなものなのだろう。
まるで、男みたいだなと思う。
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鶴田 啓
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