計算してる?
田んぼの間を走る畦道?じゃないよね。
夏休みを頂いて、田園風景がそこかしこに残る田舎(実家・熊本)に帰省していた僕にそう見えてしまうだけなのだろうか。

とても洋服とは思えない素材構成の、でも一応?れっきとした?正真正銘の?「洋服」がCLASSから届きました。
鶴田です。

” CLASS “
– CCCA04UNI A –
COLOR : YELLOW
SIZE : 2 / 3
¥121,000- (tax included)

ウルトラスエードの発色の良さを抜群に生かしたヴィヴィッドイエローのボディに、ミニマルアートのような黒とナチュラルの切り替え。しかし、その素材は「葛(くず)」と「科(しな)」。植物繊維を編み込んだ、なんとも工芸品のようなテクスチャー。ござなどの敷物に使うことはあっても、洋服に使うにはゴワゴワの肌触りが不向き過ぎると思う。

ナチュラルの方が科(しな)、黒の方が葛(くず)素材。どちらもラオスにて手紡ぎ/手織りしたもので、黒は日本国内で染めたものらしい。ざっくりとした織りからは向こうがうっすらと透けて見える。

前身と後ろ身でドラマチックに異なる着丈。この段差も洋服のパターンらしからぬ、グラフィカルな見え方。
シャープな印象のカッティングとは裏腹に、アームホールは意外と広いので色んなものの上から重ねて楽しめそう。




トレンチコートの上からベストをレイヤードした中台。




ジャケットの上からベストを重ねた鶴田。
ベストのフロントを閉じると丸首の印象が強烈に残るので、ジャケットのVゾーンなどは全て覆い隠してしまう。まるで中世の甲冑を着ているかのような、一方では1960年代にイメージされた宇宙服を着ているかのような、両極端のイメージが浮かび上がる。
ウルトラスエード&葛という素材使いもそうだけど、通常の発想では結びつかない異なるもの同士が同じ面の上で遊び、戯れている感じ。

アウターとしては勿論、ウルトラスエードも葛も素材自体はかさばらない薄手のものなので、インナーにも重ねられる。

ジャケットのインナーにこのベストをレイヤードしていた、先週末のゆうと。もはやベストじゃないみたい。そういう柄のTシャツを着ているかのようにすら見える。

フラットに縫い合わされた未来的なシーム。しかし有機的な曲線を描く切り替え。
いかにも人工的なイエローのカラーリング。
いかにも伝統工芸的な植物繊維。
いかにも都会的でフラットなウルトラスエード。
いかにも南国的なラオスの織物。
たしかに、ひとつひとつの要素を微分していけば、それぞれは相反するものに思える。

しかし、僕らが実際に洋服と相対するとき、もっと言うならばファッションと相まみえるとき。「それ」はいつも塊(かたまり)で僕らを貫いてくる。
ならば、パートパートに分けて考えることを止めよう。
一丸となった「それ」をまずは真っすぐな心で受け止め、そして感じること。
このベストは、店頭に陳列してある状態をまじまじと観察して分析・理解できるような類のものではない。
「えっ、これですか…?」と外見で躊躇したお客さんが、実際に袖を通した瞬間。不思議と半笑いで納得する姿を僕らは見てきた。そういった特別な力を持つ数少ない洋服の内の一つだと思う。
たしかにこのベストはインナーに着込んだり、コートの上から羽織ったり、差し色として扱ったり、素材感の対比に使ったり、色んな着方ができると思う。しかし、たぶん堀切さんはそのようなケースを逐一想定しながらこのベストを作り上げたわけではない。おそらく、塊(かたまり)として作っているはずだ。
だからこそ、お客さんは瞬間的に半笑いで納得するのだと思う。
手触りや色彩や着心地を超えたスピードで反射的にやってくる。
それが、ぼくがこのベストをカッコいいと思う理由であり、その速度こそがファッションだと思う。
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鶴田 啓
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