FUZZY is PUNK
昨日、中台が紹介していたNICHOLAS DALEYのHAND KNITTED FUZZY HAT。意外性のある「けばけばふわふわてろてろ」な質感、中でも別注色は特に中台らしい感性がミックスされていて抜群にかわいいと思う。この帽子が並ぶことでMANHOLEの店内もぐっとかわいく柔らかくなりそう。
こんにちは、鶴田です。
ここでひとつ。
NICHOLAS DALEYといえばジャマイカ系イギリス人で…という巨大ドレッドで巨漢の好青年デザイナー本人を思い浮かべる人もいるだろう。実際にニコラスが作る洋服に触れたことのある人ならお分かりだと思うが、彼のクリエイションは英国の伝統服や自身のルーツであるカリビアンなムードに根差したものが多い。し、実際に僕もそう思う。
英国伝統のワックスコットンやコーデュロイ、スコットランドスタイルのキルトをはじめ、ジュート素材や硬いコットンなどどちらかというとハードで頑強な質感を好む点もその特徴が素直に表れている。使い込むと味の出る自然素材が中心。ニコラスのお母さんとその仲間たちが編み立てる、このハンドニットハットシリーズも例に漏れず、いつもはゴワゴワっとしたベレーやハットが中心だった。
しかし。今回のハットは「けばけばふわふわてろてろ」。頼りなく、そして光沢のあるアクリル素材。
軽い、柔らかい、ハリ/コシがない。形が定まらない。
その代わりに(?)自然素材にはない発色がある。
まるで生き物のように、動きのあるHAND KNITTED FUZZY HAT。かわいい。
どこにいても目に付く不自然な発色、HAND KNITTED FUZZY HAT。かわいい。
ニコラスにはその血筋からくる要素に加えてもうひとつアイデンティティがある。それはカウンターカルチャー。つまり、レゲエ/ダブ、パンク、ジャズといった反抗の音楽がジャマイカ系イギリス人の彼をひときわオリジナリティのあるファッションデザイナーへと導いたはずだ。
思えば、伝説のセックスピストルズをサクッと解散させてジャマイカへ飛んだジョニー・ロットン、改めジョン・ライドンが復帰作として用意したのは、ファンが待ち望んだパンクアンセムではなく、冷たく痙攣するダブ・ビートだった。いつでも変化できるという軽やかさは、硬直した予定調和を破壊することがある。
英国伝統の硬いテクスチャーを下敷きにしながらも、ピーコック革命とともに生まれたフェイクファーの質感を思わせる(ケバい発色で)アクリル製の(チャラい)ニット帽を用意できるニコラスは、やはりまぎれもなく「ファッションデザイナー」だと思う。
中台が用意した別注3色の他に、インラインからはBurgandyとBlackの2色をチョイス。
「けばけばふわふわてろてろ」 と揺れ動く、HAND KNITTED FUZZY HAT。形がない、ということは何にだって変化できるということ。そのままでもいいし、折り返してもいい。二枚重ねてかぶってもいい。一見すると芯がない、しかしその一方では誰よりも自由。「FUZZY=あいまい」なんだけど、答えを一つに決め込まないことで得られる無限の答えがそこにあるかもしれない。
※NICHOLAS DALEY for MANHOLE – HAND KNITTED FUZZY HAT -は10月7日(金)より発売いたします。オンラインストアには同日正午に掲載予定です。
鶴田 啓
〒107-0062
東京都港区南青山4-1-3 セントラル青山003号室
M : info@manhole-store.com
T : 03 4283 8892