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昨年末からMANHOLEで働き始めた僕は、この店で日々起こる様々なことに驚かされてきた。お客さんたちのテンションや買い物の仕方に目を見張るものがあったこともあるけれど、例えば商品の仕入れ方や企画の立て方に関して、この店のやり方は僕が長年にわたって積み重ねてきた経験・常識とまるっきり違ったからだ。
こんにちは、鶴田です。
僕がMANHOLEに加入した2021年12月、ちょうどその頃、店頭には上品なイタリア製のニットが並んでいた。実際に触れてみると、それはメゾンブランドにも引けを取らない驚嘆すべきハイクオリティ。よくできているなぁ、と感心したのも束の間。オリジナルで企画したこのニットを河上は108枚も仕入れてきたという。
この小さなお店一店舗で、ひゃくはちまい?

値段もしっかりハイプライスだし、モノが抜群に良いとはいえ、この数大丈夫なの?と懸念する僕をよそに、お客さんたちは次々とニットを手に取り「最高ですね」と言いながら購入してくれる。
昨年からMANHOLEに通ってくれていたお客さんたちは覚えてくれているだろう。



ステッチは減らし目、リブは編み地を重ねて表現するなどフル成型のニット技術を存分に注入して作られたこのニットはどこをとっても美しい。カットソーみたいにスクエアな形状の裾までもがステッチではなく編み地で処理されているのを見た時、素直に「スゲーな、このニット」と思った。

28〜30ゲージ相当のしなやかな編地は上品な光沢と軽やかさを備えている。「1974年創業で仏:H社/C社、伊:D社など、トップメゾンのニット生産を現在も担うボローニャのファクトリー」という通り名は伊達じゃない。
…が、クオリティの話は昨冬も散々してきたし、このニットを手に取ったことのあるお客さんならば既に感じられていることだろう。ということで、実際に着てみる。



178㎝の鶴田がLサイズを着用してこの感じ。この黄色が滅茶苦茶似合いますね、と河上に褒められた。控えめなモックネックなので、ドレスシャツの襟を乗せて着ることもできる。



英国製の本格的なテーラードジャケットのインナーに、トーンオントーンで。生真面目なネイビーに、少し彩度のあるインクブルーが柔らかさと華を添えてくれる。44歳らしく、ばっちりアダルトな見え方です。一年前の自分では得られなかった感覚。



173㎝の河上がLサイズ着用。スモーキーなジャケットのインナーで微かに杢感のあるグレーが映える。ドロップしたショルダーも気持ちいい。「まるでフランス人みたいだな、河上」と褒め返してみた。おじさん同士でイチャイチャしながら撮影したくなるくらい、いいニット。
ちなみに、このニットはM/L/3XLというイレギュラーなサイズ展開なので、河上にフィッティングをお願いした。



着丈や袖丈、全体のドレープがそれなりに変化していくが上質さは変わらない。

3XLサイズを一枚でサラッと着た河上。リラックスしたムードがいい感じ。


鶴田のようにニットとして着ても、河上のようにカットソーライクに着ても、どちらでもいい。
何より、昨年のMANHOLEと今年のMANHOLEとでは色んなことが変化しているのだから、着方が変わるのも当たり前。僕らも変化していて当たり前。お客さんも変化していて当たり前。僕がMANHOLEに入ってから一年弱の間に、ドレスシャツやネクタイ、本格的なテーラードジャケットなど、店頭に並ぶアイテムもゆるやかに変化した。このハイクオリティなニットを調理するためのスパイスが増えたと言ってもいい。
シンプルなアイテムであるがゆえに、自分自身の変化に最も気づきやすいアイテムなのかもしれない。

” MANHOLE “
Color : C.Grey / Yellow / Blue
Size : M/L/3XL
Price : ¥52,800-(tax included)
made in italy
昨冬にたくさん買って頂いたとはいえ、仕入れたのは108枚。まだ少しだけ残りがあったこのニットを半年ぶりに店頭へ並べてみた。むしろ、半年前よりもよく見えた。特に黄色なんて、実際に袖を通してみたら無条件にテンションが上がった。
昨年とは違う自分。

ニットの上にテーラードジャケットをサラッと羽織った今日の河上は、昨年の河上よりも自信に満ち溢れた表情をしていた。ドレスシャツを着てネクタイを締めて毎日を楽しんでいる最近の彼からすると、昨年と変わらぬクオリティでそこにあるニットが頼もしく思えるのかもしれない。
変わるものと、変わらぬもの。
シンプルなデザインのニットは、(そのクオリティの高さゆえに)自分自身の現在地を確かめる意味で頼りになる存在である。それは変わり続ける自分、変わり続ける世界に対しての羅針盤でもある。
昨年既にこのニットを手に取ったことのある方も、是非、新たな目線でこのニットに触れてみてほしい。最高峰のクオリティだけが与えてくれる発見があると思う。それは108種類の人それぞれの発見になるはずだ。
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鶴田 啓
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