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結晶



明日(11/3)MANHOLEで発売するSADEのパンツ、PT09。

このパンツに僕は並々ならぬ思い入れがある。僕が河上・中台と一緒に働き始めて間もない頃、このパンツの原型となるモデル(これも、彼ら二人が試行錯誤しながら完成へと近づけてきたパンツ)について「この型をもう少しシェイプアップさせたいんですけど」と相談されたパンツだからだ。

つまり、彼らが築き上げてきたMANHOLEのベースに、僕の能力がクロスオーバーした瞬間。ベースになるパンツにピン打ちし「ここがこうなれば、こっちがこうなる」などと解説しながら「どうかな?」と提案した記憶がある、そのパンツ。PT09。

こんにちは、鶴田です。



このパンツが完成形にグッと近づいたことは、春夏シーズン(写真上)の納品時にすぐ分かった。抜群にカッコよかったから。曲がりなりにも25年間、様々なデザイナーやパンツファクトリーが作るパンツを見てきた(着てきた)僕だが、これほどカッコいいパンツにはそうそうお目にかかれない。かかってこなかった。だからこそ、ある種の到達点を感じていた。

カッコいい。この感覚的な概念は嫌がおうにも、人へ伝染する。自信は元々あったけれど、それを上回るスピードで半年前のPT09はお客さんの元へと旅立っていった。

MANHOLEスタッフの誰もが確信を得た瞬間だった。「このパンツはカッコいい」と。そして、機会は巡る。僕は前職時代のツテで「スーツやジャケットのカスタムオーダーに使うためのヴィンテージファブリックの残反が一定量ある」ことを知っていた。河上が「その生地、PT09で使いませんか?」と言った。ソレだ。 元々、MANHOLE企画の何かに使いたいと思っていた僕も即座に賛同した。「いいね」。



かくして、僕は某社がかかえるヴィンテージファブリックを見に行き、結果として「全部、買います」と言って帰って来た。(パンツに不向きな生地はハネようと思っていたけれど、それは結果的に大した問題ではなかったし、生地の魅力が色んなことを跳ね返してくれたから)今ではなかなかお目にかかることが出来ないようなタッチのもの、2022年時点でのプライスにはまるでハマらないだろうハイクオリティのもの、贅沢なカシミア混のもの、様々な生地を今シーズンのPT09に使うことができると決まった。

ただし、残反はあくまでも残反。3mしか残っていない生地からはパンツの用尺1.7~8mは1本分しか取れない。全部で15種類買ってきた生地だが、1本しか作ることができなかったものが12種類もある。全15種類、合計20本。

先日、実際に納品されたPT09。2022年秋冬バージョン。



スナップ式の三連トップボタン、幅広のウエストバンド、スモールフィットのヒップ周り、サイドアジャスター、片側フラップポケット、膝下からエレガントに広がるフレアシルエット。

形そのものは先シーズンから全く変更していない。



しかし、秋冬向けのヴィンテージファブリックが乗ることで、顔つきは全く別物になった。

ニットやファー、ジャケット、ネクタイ、ブーツなど合わせられるアイテムも飛躍的に広がったと思う。



ヴィンテージ生地の残反という背景の都合上、世界で一本しか作れなかったパンツもあるわけだけど、別に僕らは「レアなアイテムです」とか「他の人とカブらないです」とか、そういった売り方をしたいわけではない。単純に、カッコいい形をしたパンツにカッコいい生地が乗せられているパンツ、僕らが思う2022年時点での完成形のひとつ。

結果として、このパンツには「巡り合わせ」があると思う。生地は15種類もあるんだけど、ひとつあたりの数が少ないので全てはタイミング次第。そこにはまるで古着を買うような楽しさがあるけれど、その一方で古着のパンツでは賄いきれない完成度がこのパンツにはあると思う。スーツ屋は作らないパンツ。古着屋では買えないパンツ。

そういった意味で、このパンツはとてもMANHOLE的だと思う。

なんだか、このブログではさんざんと「完成形」だの「到達点」だのと書いてしまったけれど「それくらい自信があるんだな」と、笑いながらご容赦いただければ幸いです。

まずは、明日から。お客さんとパンツの巡り合わせの場に立ち会えることが僕らは今から楽しみで仕方ありません。








※PT09は明日、11月3日(木)から販売を開始します。
店頭販売優先、今週末はPT09に関するお問い合わせにお応え出来ない場合がございます。何卒ご了承ください。
オンラインストアには11月7日(月)に在庫が残っている場合掲載します。

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鶴田 啓

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