どう見ても白い蛇?
先日入荷してきたシューズ。木型はMARMOLADA Q、スクエアトゥの3穴チャッカブーツ、ビブラムソール搭載。
素材は…。

白蛇。
どこからどう見ても白い蛇。
どこからどう見ても?
白い?
蛇?
こんにちは、鶴田です。

たしかに蛇のうろこがはっきりと見えるし、少し黄色みがかっているとはいえ色は白。でも、昨日河上が紹介していた「赤い蛇」に比べると「どこからどう見ても感」が弱い?



そういえば、僕は蛇が苦手だ。なぜだろう?
ゴキブリやトカゲなんかは比較的大丈夫なんだけど、蛇のあの「にょろにょろ」っとした感じは思い出すだけでゾクゾクする。「よく見ると可愛い顔」とかには騙されない。ゆっくりと地を這いながら蛇行するあの感じ。にょろ~っとした曲線がどこまでも続くあの感じ。脚がないからかな?
なんて話を数か月前に中台としていたら「鶴田さん、ミミズは大丈夫なんですか?」と訊かれたので「いや、ミミズは比較的大丈夫、そんなでもない」と答えたことろ「じゃあ、脚がないからってのは全然違いますね」と笑いながら論破・全否定されて、スネた。
最終的に「前世で蛇との間に何か因縁があったのだろう」ということに一旦は結論付けた。



そんな蛇嫌いの僕が、この靴からは「どこからどう見ても蛇」を感じない。手に取って、実際に履いて、よく観察してみた。




だいぶ見えてきた。
まず、F.LLI Giacomettiの中でも登山靴部門を作るMARMOLADAライン製なので、 ノルヴェジェーゼ製法でがっちりと作られている。加えて、ゴツいビブラムソール搭載。「細くて長い」イメージのある「蛇感」が払拭されている。また、MARMOLADA Qと呼ばれる木型の直線的なスクエアトゥ。こんなに角張っている蛇はいない。


最後に、蛇革を蛇革たらしめる、その表面感。赤蛇の表面がカリカリ/テラテラとした一般的な蛇革イメージであるのに対し、この白蛇は柔らかくしっとりしている。光沢も控えめで、マット。
実はこの白蛇、一般的な牛革で言うところのヌバック仕上げ。蛇の銀面にあたる部分をバフで削り落としているため、魚類・両生類・爬虫類特有のいかにも鱗っぽいカリカリの光沢が取り除かれて、柔らかな質感になっている。
先日、お客さんの一人が白蛇の靴を見て「これは何革ですか?」と尋ねてきた。「蛇です」と僕が答えると「蛇ですか、てっきり鳥かと思いました」とリアクションされた。この靴が鳥っぽいかどうかはさておき、たしかに羽毛のような柔らかさを感じることができる。
つまり、どう見ても白蛇、じゃない。
そして、この靴の場合、蛇っぽくみえるかどうかは問題じゃない。単純にカッコいいのだ。

” F.LLI Giacometti “
– FG568 –
Forma : MARMOLADA Q
color : CREAM
¥170,500-(tax included)
流線型のオブリークトゥに乗せられたダブルモンクというエロいディテール。細かい鱗がカリカリと光る、赤蛇。
角ばったスクエアトゥに乗せられた登山靴タイプのチャッカブーツ。大ぶりな鱗がしっとりと波打つ、白蛇。
「次は何を用意したらお客さんは笑ってくれるのだろうか」
蛇革を2種類も用意したモチベーションを、昨日の河上はそう嘯いていたが、いやいや。こんなにも蛇靴同士をちゃんと差別化できている。実は考えてる?河上。どちらもそれぞれにカッコいい。
ということで、僕の中での河上はやっぱり「靴の人」なのです。そんな河上が選んだ蛇靴、いかがですか?
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鶴田 啓
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