奥行きがほしい
冬を特徴する素材:ファー。
30数年生きてきた中で、今まで率先して取り入れて来なかったなあ、ということに一昨年気付いたので、去年試しにBLESSのフォックスファーベストやFRANK LEDERのフォックスファーコートをMANHOLEで仕入れてみました。
結果的に僕の顔の下にリアルファーを持ってくると「自分で狩猟して鞣した感」が出てしまうのが少し気になりました。「慣れ」だけでは済まされない世界。
素直に「自分で狩猟して鞣すわけがない」というキャラクターをお持ちの方が羨ましいです。
リアルファー、写真の中のスーパースター達や華奢な女性が似合うのも納得が出来るなあ。
中台は「毛皮を欲しがってる中台を気遣った後輩が狩猟して鞣したものを着ている感」が出るので、まだ許される気がします。
鶴田さんに至っては「まあ、この人は毛皮くらい余裕で着るよな」という印象なので普通です。
慣れ、というよりかはキャラクターなんだと思います。慣れていく過程でキャラクターになるんだろうけれど。
仮に身長や体型や顔立ち、年齢や性別や肌の色などを縦軸、横軸とするならば、その人の持つキャラクターが奥行き。
さて、今日紹介するのはCLASSのショートコート:CCCA17UNI。
昨日鶴田さんが紹介した、CCCA01UNI Aの腰部分に用いられるフェイクファーが本モデルでは首元にあしらわれています。
コートとパンツでセットアップの鶴田さん。
モノトーンにオレンジ。
グレーは千鳥のピンチェック、リフレクターが織り込まれた英国製生地。
スポーティな千鳥柄に、スポーティどころかスポーツなリフレクター。
ウール/アクリルのフェイクファーのせいなのか。
鮮やかに染められたオレンジのせいなのか。
これだったら僕でも「自分で狩猟して鞣した感」が出ない。嬉しいです。
ウール/アクリルのフェイクファーですが、肌に触れるとリアルファー以上に暖かい気がします。
僕のように極端に暑がりな人は首元のファーを避けるためにフードでガードしましょう。
これで暖房の効きすぎた電車でも暑くないです。
グリーンはマイクロチェック。ラメ糸が織り込まれた英国製生地。
先ほどとは打って変わってカラフルな鶴田さん。
グリーンにオレンジ、馴染まないブルーに紫のパンツ。
ロンドンにいそうできっといない、東京の鶴田さん。
ずっと着ているコートも着たことのない色、入れたことのない質感を入れたら新しい気持ちで着れるのではないでしょうか。
コートにコート。
暑がりで寒がり、めんどくさい自分の体質と向き合って見つけた好きな着方。
着てみるとわかりますが、このコートを着ると中に着ている洋服が泳がない。
裏地の半身はニット地のウルトラスエード、過去のコレクションに使われていたもの。
すべりづらいウルトラスエードを職人さんが頑張って編んだ、このニット地。
ウルトラスエードがニットになることで当たり前のように更にすべりづらくなっているので、肩部の裏地としてとても優れているな、と思います。
とても高い素材ですが、「この生地を裏地に使いたい」という感覚的な部分以外にちゃんと理由がある。
光る謎の生地、アナログな謎の釦、どこか懐かしさのある謎のモールストラップ、ポケット口にあしらわれた補強用の謎のウルトラスエード、ニット地のウルトラスエードという謎の裏地、そしてウールアクリルの謎のファー。
付属や生地の組み合わせはとてもマニアックなんだけど、なんでも知ってる洋服マニアが作ったというよりかは、感性豊かな子供が切り貼りしたような無邪気さを感じませんか。
計算とアドリブ。経験と直感。テクニックと情熱。
自分が好きなものを自分がはっきりと認識している上で、それを誰かに堂々と伝えられる人にしか形に出来ないもの。
僕はCLASSの洋服から、そんな奥行きの深さを感じるのです。
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河上 尚哉
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