食わず嫌い
「レギンス、穿いたことある人ー?」って訊かれて、僕は「はーい」と手を挙げます。
この質問、条件によっては手を挙げる人が増えたり減ったりするんでしょうか。それは「ファッションとしてレギンスを~」だと少なくて(ランニングやヨガ、ダンスなどの)「スポーツ用としてレギンスを~」であれば比較的増える、という。男性と女性でも当然違うだろうな。
ファッションとしてレギンスを穿く男性は少数派?ファッションとしてレギンスを穿くのはチャレンジ?
こんにちは、ファッションとしてしかレギンスを穿いたことがない鶴田です。
15年ほど前に、リカルド・ティッシがデザイナーに就任した新生・GIVENCHYのコレクションはマッチョなショーツ+レギンスルックでファッション界の話題をさらった。それよりも更に20年前、1980年代のマドンナが着こなしたレギンスルックは巷の女子たちのハートを鷲掴みにした。
そんな経験が「ファッションとして穿くレギンス」に特別な抵抗を感じない僕の価値観を形成していることは、おそらく間違いない。生牡蠣を食べたことのある人が生牡蠣を食べることに抵抗を感じないのと同じ。確かにすごいけどね。人類で初めて生牡蠣の殻を開けて口に入れたやつ。
でも、僕が体験した時代をリアルタイムでは体験していないはずの(10歳下の)河上。どうやら彼にも抵抗は無い。まったく無い。
ショーツ+レギンス+モヘアソックス+マウンテンブーツ。可愛いな。あと、自然だ。
CLASSがMANHOLEのために用意してくれたノスタルジックメッシュウールバージョンのレギンス・CCDS02UNI C。河上が穿いているのはマットなCHARCOAL。
そして10年以上前にファッションとしてレギンスを穿いたことのある鶴田。勿論、抵抗など無い。
ロングシャツ+レギンス+レギンス+医療/スポーツ用の着圧ソックス+英国靴。
ノスタルジックメッシュウールバージョンのレギンス・CCDS02UNI CのWHITE。その下にコットン×ナイロンのリブ編みレギンス・CCDS02UNI BのLT.BEIGE。その下にスポーツブランドの赤い着圧ソックス。
久しぶりにロングシャツを着て思ったけど、シャツってそもそもは下着。古い時代だとロングシャツ状のものを股の下で二手に分けて内腿にボタンで留めて、今で言うTシャツとトランクスが一体化したようなオールインワン機能を備えていた。
じゃあ1980年代のマドンナよりももっと昔、そもそもレギンスとは何なのか。似たものにタイツ、スパッツ、股引きなどがあるけれど。
それほど深追いして調べなくても、レギンスが下着やゲートルの隣にある衣類だということは想像に易い。そう考えると現代のレギンスは昔からある衣類の派生型。昔は下着であったシャツを今ではタンクトップの上から羽織るように、レギンスの上に何かを重ねてもレギンスの下に何かを重ねても、どっちでもいい。
ルーツに迫ったところで、コーディネート云々の解決法を考えるだけ無駄。現代は現代だから。レギンスをばっちり見せたければ股が隠れるくらいのトップスに合わせて一枚で、半分見せたければショーツとレイヤードして、チラ見せでよければナイロンパンツやジャージのインナーに、いかようにも。
要は何なのか。今シーズンCLASSが提案するレギンスは究極の「スキニー」なんだと個人的に思う。最も直球のレギンス・CCDS02UNI A(ポリエステル100%)はある意味、世界で最も細い黒スキニーパンツだし、コットン×ウールのリブ編みCCDS02UNI B(写真上)に至っては「シースルー」要素も感じさせる。肉体から遠く離れたオーバーサイズフィッティングの反動として、肉体に密着したスキニーな洋服は今またとても新鮮に思える。
初めてレギンスを体験する20代にも、その感覚は確かに伝わっているようだ。
それが一周目だろうと二周目だろうと三周目だろうと、最終的には「生牡蠣を食べたい」と思う気持ちが強い人の横で僕は「生牡蠣を食べたい」。 その人にとって何が「チャレンジ」なのかなんて人それぞれ違うけれど、 そういう人の方が一緒にいて圧倒的に楽しいと思う。
すぐ隣から「え~、そんなの食べるの~?」とか「スゴイね~」とか、そんなことばかり言ってくる人はいずれ誰からも誘われなくなるだろう。だからこそ、僕らは洋服屋としてまず誰よりも楽しそうに洋服を楽しんでいたいし、食べ方を考えたり教えたりするのはそのずっと後でいいと思っている。
あー、レギンス食べたい。
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