窓
この日、外苑前は予報通りの雪。昼過ぎには雨に変わったけれど、シトシトと降り続く音に比べたら、(多少、交通の不便があったとしても)しんしんと降り積もる方が好みだなぁ、と。
こんにちは、鶴田です。

半地下にあるMANHOLEの採光窓からは、足早に道を急ぐ人々の姿が見える。



それにしても変な形の窓。
その正体は。

” CLASS “
– CCDS15UNI A –
COLOR:GREY
¥107,800-(tax included)
先日紹介した「造形美ジャケット」と同じ、3層構造のウルトラスエードを使ったベスト、CCDS15UNI A。ジャケットと違うのは3層構造の裏使い、グレー面が表だというところ。(この際、どっちが表だよ議論はさておき)
このベストの左脇腹付近には不思議な窓が開いている。二つも。




まるでコンクリートのように無機質な表情のベストにぽっかりと開いた窓。
しかし、その窓にはガラスが入っていない。内界と外界を隔てるものが無い、窓。


分厚いウルトラスエードをカットして開けられた、この半円と三角形の窓から覗くものは人によって異なる。僕の場合はスウェットシャツが、中台の場合はジャケットが覗いている。




フロントのダブルジップを上まで引き上げても、脇腹の窓は開いたまま。内と外に隔たりは無く、出口でも入り口でもないこの窓(もしくは穴)を通じて世界はひと続きとなる。

今シーズン、CLASSのコレクションでいくつかのアイテムに採用されている、このカットワーク。堀切さんの口からはデザインのソースとなった或るデザイナーの名前が出てきたが、僕がこのベストを見たときに思い出したのは、或る美術館の名前だった。
埼玉県立近代美術館。設計者は黒川紀章。1982年に完成した、埼玉県の北浦和公園内にあるこの建築は、黒川が手がけた最初の美術館としても知られている。自宅からそれほど遠くないこともあり、この美術館は僕のお気に入りの場所の一つだ。

この美術館を訪れたことのある人はご存知のことだろうが、埼玉県立近代美術館は、その本館の周りを格子状の骨組みが取り囲んでおり、この下を抜けながら歩くエントランスへのアプローチは、まるで屋外でも屋内でもないかのような中間領域。
構えているが、閉じていない。

肉体の外側へと続く通気孔のようにポッカリと開いたCCDS15UNI Aの窓は、構築的な素材に囲まれた精神をいかにも解放へと導いているかのようだ。

境界線を決めることもない。
拡張だけを追い求める訳でもない。
後戻り禁止の強迫観念に苛まれることもない。
ただ、外へ通じているということは内に繋がっているということでもある。
黒川紀章とは全く関係ないかもしれない、今シーズンのCLASSのテーマ「反観合一」。しかし、そのテーマに縛られる必要がない風通しの良さがCLASSのアイテムから感じられることは僕にとっての事実だ。自由な風が吹いている。
窓は開けておくんだよ。
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鶴田 啓
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