揺るがない
「ブレザーなんて、お気に入りが一着あればどれも同じでしょ?」
renomaから届いたブレザー二種。一年前にリリースされたアイコニックなモデル「VERNEUIL」をアップデートさせ、2023年仕様になったこのブレザーの名前は「Trocadéro」。 このTrocadéro(トロカデロ)は、パリの16区にある「トロカデロ広場」およびメトロ駅「トロカデロ」から取られた名前だろうか?
15年ほど前にパリ旅行に出かけたとき、僕はこの広場にほど近いロケーションに宿を取ったのだが、少し早起きすると商店街で朝市をやっていたり、実にパリらしい街並みがそこにはあった。
こんにちは、鶴田です。
モヘア混のじゃりっとした生地、シルバー色のフラットメタルボタン、コンパクトなフィッティング。この辺りは前作「VERNEUIL」と同様だけど、 今回の「Trocadéro」はよりグラマラスなウエストシェイプ、高いシェイプ位置から流れるように続く、更に長い着丈。
前作でセンターに切ってあったベントは、深めのサイドベンツに変化した。
ぱっと見では昨年のモデルと同様に見える、このミニマルなブレザーも詳しく見ていけば変更点がいくつも見つかる。
ヨーロッパ三都市の周遊旅行、パリ帰りのゆうとに「Trocadéro」を着てもらった。
古着の開襟シャツ、総柄プリントのイージーパンツ、赤いローファー。全体的には色柄が溢れているけれど、ミニマルなブレザーがまとめ役となり不思議と散らかった印象になっていない。
横から見たときの流れるようなラインはそのまま長めの着丈へと繋がるエレガントなシェイプ。フレアパンツが似合うのは当然だけど、写真のようにひらひらのイージーパンツを合わせても勿論、大丈夫。renomaのルーツにあるクラシカルなテーラードアイテムは、ちょっとやそっとじゃ揺るがない。
同型「Trocadéro」の生地違いは、河上が思い付きで別注したらしいグレーのリップストップ素材。モヘア混のネイビーに比べて、より軽く、よりしなやか。ブレザーにリップストップ生地という意外性も、「Trocadéro」の前では不思議とアヴァンギャルド過剰に映らない。
ライトグレーの襟裏フェルト、真っ白なライニング、揺れるリップストップのライトなドレープ。上品で、物静かで、凄くいいじゃない。
後ろから見たときの流れるようなラインはそのまま長めの着丈へと繋がるエレガントなシェイプ。フレアパンツが似合うのは当然だけど、写真のように極太のワイドパンツを合わせても勿論、大丈夫。renomaのルーツにあるクラシカルなテーラードアイテムは、ちょっとやそっとじゃ揺るがない。
肩当てをレイヤーしたくらいじゃ、揺るがない。
春の街歩きに連れ出したい軽快さ。コンテンポラリーな素材使い。ライトグレーのアーバン感。河上は昨日、かるーくサラッと紹介していたけれど、これは傑作別注アイテムかも。素直にカッコいい。
より軽快に、より自由に着こなすゆうと。ひと月ぶりに会うゆうとは、話してみるとちょっと大人になったような気がした。
髪型、緑色、可愛いね。とか、そういう分かりやすい変化ではなく、世界を回ると人は変わる。目の色も変わる。
現代の傑作ブレザーに思えた 「VERNEUIL」にも、まだ変化の余地はあった。ぱっと見は同じように見えても、何か所も細かく変化を加えれば人もブレザーも変化する。それは改良とか改善とかそういう意味ではなく、renomaを手掛ける堀切さんの中で気分の変化があったということ。
細かいディテールやシェイプの変化を楽しむ、ネイビーも。
生地感の意外性やコントラストを楽しむ、グレーも。
どちらも、同じ「Trocadéro」 。
その根底にあるモーリス・レノマが作り上げたrenomaのレジェンダリーな世界観と。堀切さんが 現代の気分を注入したシェイプが放つ時代感と。河上が思い付きを形にしたブレザーが持つ実在感と。
ゆうとがまだまだ変化するように、河上もまだまだ変化する。勿論、堀切さんも変化する。だからこそrenomaもまだまだ変化する。それは目に見える角度と目に見えづらい角度の両方から僕らを射抜いてくる。完成形の上に鎮座しない、徹底的にコンテンポラリーな変化があるからこそ、「Trocadéro」 はちょっとやそっとじゃ揺るがない。
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鶴田 啓
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