ねばならない、タッターソール
四月も下旬になると、就職や入学、転勤などの新生活に伴うバタバタもひと段落といったところでしょうか。お店には新しいお客さんの姿もチラホラ。四月からの東京・新生活に合わせて来店してくださる方も増えました。
という季節の挨拶から始めてみます。
俺を散歩だけの人間だと思ったら大間違いだぞ。
とは言いませんが、こんにちは。鶴田です。

” NICENESS “
– ENNIO –
¥49,500-(tax included)
NICENESSから届いた軽やかなシャツ「ENNIO」。もう、商品名の時点でイタリアのクラシックな雰囲気が存分に感じられます。
ということで、このシャツはナポリのシャツメーカーの雄・Salvatore Piccolo製。サルヴァトーレ、です。トルナトーレではありません。




別に今更イタリア製をむやみにありがたがることはありませんが、やっぱりNICENESSがSalvatore Piccoloにわざわざ依頼するということは、この商品の本質に必要不可欠な要素をナポリのシャツ屋が備えているから。
艶やかなシェルボタンや空気を含んだ軽い生地など素材の良さは勿論のこと、襟や袖の付け、裾のガゼットなど動きの中でサスペンションになってくれる部分は丁寧なハンドステッチによる仕事。ボタンホールの仕上げも綺麗。袖口はふんわりとしたギャザー仕様。緻密な作りの一方で、元々がス・ミズーラ出身のシャツ職人であるSalvatore Piccoloらしく左胴部分にはステッチで「NNP」のシグニチャーが入るチャーミングな一面も。

カラーステイを抜いてしまえば、ソフト芯で仕立てられた襟がなおさら軽快な印象に。この軽さ。
本来はカントリージェントルマン的な英国調を示すはずのタッターソールチェックが非常に洗練された一着に見えるという、ここがポイントです。古典的な印象のアイテムを現代的に、都会的に、若々しく、楽し気に、しかし品質はきっちりと担保して。NICENESSのクリエイションの根幹にあるものが丸ごとすべて詰まっている。
ということで、都会的に、楽し気に。まずは、街を歩いてみよう。





今日、僕の代わりに街を歩いてくれたのは23歳のモモノスケ君。
チェック柄の中でもひと際カントリー風味の強いタッターソール。 別名「乗馬格子」 というだけあって、個人的にはスポーツシャツ=ボタン・ダウン・シャツに使われているイメージがある。アメリカに渡れば間違いなく襟先にボタン、左胸にポケットが付きそうな柄のシャツを、イタリアメイドの柔らかな仕立てで作ったNICENESS。
スラっと細い襟型、「ENNIO」のシャツは都会にもばっちりハマってくれる。ジャケットのインナーに合わせても、一番下にプリントTを差し込んでみたいほど軽快なタッターソールシャツ。




はたまた、Tシャツのインナーとしても「ENNIO」をレイヤード。クセ強めの小物、乱雑な袖まくり、路地裏にしゃがみこんでも育ちの良さが感じられる乗馬由来の格子柄。

イタリアともイギリスともアメリカとも異なるスタイルのタッターソールシャツ。スタイルのキーとなるピースを一つずつはずしたり入れ替えたり捨てたり作ったりしながら緻密に考えられたであろう、折衷主義の産物。
だからこそ、ハリスツイードやラムウールのセーターに合わせてもいいし、合わせなくてもいい。ショーツやデニムに合わせてもいいし、合わせなくてもいい。もちろん、ネクタイもジャケットも同様だ。なぜなら、このシャツには記号的なスタイルの区分を超えるほど、ど真ん中に「クオリティ」という概念があるから。

こういうアイテムを見ると、僕らが普段使っている (一見すると乱雑に?投げやりに?思われがちな)「必ずしも〇〇しなくてもいい」という言葉が、NICENESSをはじめとするデザイナー達が心血注いで作り上げた緻密なクリエーションに下支えされているのだということに気づかされる。
つまり、自由に着てほしいから、細かく作るということ。
16歳の僕が初めて購入したタッターソールのシャツは、アメリカ本国からカタログのメールオーダーで取り寄せたL.L BEANの ボタン・ダウン・シャツだった。あの時代に、「ENNIO」みたいなシャツはまるっきり存在しなかった。当時の僕に教えてあげたい。未来、こんな洋服を作るデザイナーが日本人でも現れるよ、ってことを。
「ねばならない」を、ぶっ飛ばせ。
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鶴田 啓
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