選ばないという選び方を選ぶ
こんにちは。河上です。
この仕事を続けていると、自分が選んでいるのか誰かに選ばされているのかわからなくなる瞬間があります。以前も書いてますね。
誰かが良いと思ったから作った洋服が並んでいる展示会という整った場所で物を選ぶ行為に対するちょっとした違和感を、心のどこかでずっと覚えていました。
その点、今回のニューヨークのようなディーラーに全く頼らない古着の買い付けは自分自身の内側の「自分が良いと思う感覚、自分が魅力的に思う感覚、自分が楽しいと思う感覚」を自分が信じることが出来るかどうかで決まるので、現行のデザイナーズブランドを買い付ける行為よりももう少しだけ純粋だと、思う。ちょっとした違和感はその「もう少しだけ純粋」のもう少しだけの部分なのでしょう。
もちろん、展示会の良いところは誰かの感覚を受け入れるという行為に繋がるので、良い部分もたくさんあるのだけれど。
選び続けた、あるいは選ばされ続けた僕はどこかのタイミングで一度くらいは「選ばない」という選択を選んでみたかったのです。
そしてそれは、受注会やトランクショーといったブランドの感覚任せ、お客様の感覚任せ、バイヤー不要の都合の良い便利なイベントではなく、実際にそのブランドがそのシーズンに作った全ての品番を買い付けることでしか体験出来ない。本当に全て良いと思っているならば、本当に全て買い付ければ受注会やトランクショーなんてイベントは本来必要がないはずです。
2023AWシーズンのCLASSはまさに、MANHOLEにとって、僕にとって、その「選ばない」という選択にふさわしいコレクション。
今シーズンのCLASSは全品番、全カラー、全てオーダーしてみました。
ついつい選んでしまいがちな僕らにとって、選ばないという選び方を選べる機会なんてそうそうありません。本当に、全てが良いと思う。CLASS、ありがとう。
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河上 尚哉
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