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猟犬と鳥



突然ですが、犬と鳥の共通点ってなんだと思いますか?

犬(いぬ)は 食肉目イヌ科イヌ属に分類される哺乳類の一種である。
鳥(とり)は、竜弓類に属する脊椎動物の一群である。
<それぞれ、wikipediaより>

…だそうです。そう、生物学上は全く異なる分類です。共通点は「人間のペットになり得る動物」ということくらいですかね。すぐに思いつく限りだと。

こんにちは、鶴田です。

ちなみに僕は名前的に「竜弓類に属する脊椎動物の一群」に分類されそうな気もするけど、実際は純然たる「ヒト亜族」または「ホモ・サピエンス・サピエンス」です。最近は「サピエンス」って二回も言うんですね。

え?昔からそうだって?


“ m’s braque ”
– no pleated check trousers –
¥50,600- (tax included)



先週に引き続き、m’s braqueから届いたパンツをご紹介。エレガントで男らしい先週のパンツに比べると、こちらはノープリーツですっきりとした印象のストレートシルエット。過剰な要素はどこにもなく、いつの時代に誰からでも好まれそうな一本。



やや薄手のフランネル素材なので、白×黒のチェックも柔らかい印象に見える。ドレープも軽やか。メンズワードローブの中で定番と言われることの多い「グレーフランネルパンツ」を既にお持ちの方にとっては、二本目のフランネルパンツとしても活躍するだろう。

白黒チェックなので、単品で見ると「少しキザでお洒落っぽい」と思う人もいるだろうか?トップスには黒いタートルネックを合わせないといけませんか?的な。それはファッション情報の摂取過剰というもの。勿論、そういった典型的なコーディネートの相性が悪いわけはない。でも、僕らとしてはもう少しラフに楽しんでほしいとも思う。



古着のスウェットと裾出しシャツで、ラフに着ても十分成立する。むしろ、ニュートラルなシルエットのパンツが全体をブラッシュアップしてくれている。ファンシーなライラック色がモノトーンのパンツをいい意味でユルく見せている。



バランスの良いシルエット。GUIDIのPL1が自然に収まる裾幅。



ネイビーブレザー+ウエスタンブーツでコーディネート。



白黒チェック+フラワープリントで、ちょっと騒がしく柄合わせ。勿論、まるで問題なし。



ウエスタンブーツのシャフトが難なく収まる裾幅。

F.LLI Giacomettiでいえばポインテッドトゥな木型「Viora TR」なんかに合わせても気持ちいいだろう。



適度な深さの股上。フロントスタイルはノープリーツですっきり。持ち出しが長いので、ベルトレスで穿いてもなんとなくサマになる。



変な柄のシルクシャツに合わせても、問題なし。ワイン色のジャケットに合わせても、問題なし。遠くから見ると、ほぼ無地に見えるこのパンツ。



ヒップがキュッとコンパクトに見えるのもm’s braqueならでは、パターンが優れている証。



厚底エアクッションソールのカジュアル靴に合わせても、上品に収まる裾幅。って、これはナンダ?イヤなところがひとつもないじゃないか!

ここで話を戻すと、白黒チェックのこの柄。英国的に言えば「ハウンド(またはドッグ)トゥース」、つまり「猟犬の歯」が並んでいるように見えるという。しかし、この柄の和名は「千鳥格子」、つまり「小鳥」が飛んでいるように見えるという。

犬?鳥?どっち?



「ハウンドトゥース」は英国・スコットランドが発祥と言われているけれど、同じ出自の「タータン」に比べるとクラン(氏族)がはっきりと特定できないシンプルな柄である。そして「ハウンドトゥース」は、日本でいう家紋のように氏素性と関わりのある「タータン」ほどには「スコットランド全開」にならないチェックだからこそ、(ブラックウォッチと並んで)フレンチスタイルでも頻出するようになった柄だと、僕は認識している。

つまり「犬にも見えるし、鳥にも見える」「英国にも見えるし、パリにも見える」「柄にも見えるし、無地にも見える」ということ。

別にいまさら、他人が穿いているパンツを見て「英国っぽい」とか「パリっぽい」なんてことをいちいち考える必要はないし、柄の名前をそれぞれ覚えるなんてことは洋服屋以外の人にとっては娯楽でしかないんだけど。だからこそ、ニュートラル。特定の何かにしか見えないわけではないけれど、何者でもないわけでもない。

鶴田が只の「ホモ・サピエンス・サピエンス」 であるのと同じように、このパンツは只の「カッコいい・パンツ・パンツ」だってこと。根っこには、まずそれがあるということ。犬も鳥も頭から消し去って、シンプルに「生き物」を見るような目で、この「洋服」を試してみてほしいワン。




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