だから、考える
CLASS史上3度目の登場。
腰骨に引っ掛けて穿く股上の浅いベルトループレス仕様、膝部分から極端にカーブをかけ大きく湾曲させたパンツ。
最初にこの形がコレクションにラインナップされたのが2019年秋冬シーズン。
当時この「膝部分から極端にカーブをかけ大きく湾曲させたパンツ」に使われていた生地はションヘル織機で織った、ライトフラノにナチュラルストレッチを加えた素材。
初めて見た時は「なんて変な形なんだろう」と思った。
パンツハンガーに吊るされた”それ”は、確かに膝から上はパンツの形をしているけれど、柔らかな生地を使用しているせいで膝下からはぐにゃぐにゃにつれていた。
「座ると綺麗な形になるパンツなんですよ〜」と、説明してもらった覚えがする。
試しに穿いてみて、座ると確かに綺麗な形になった。立つと膝下からぐにゃぐにゃにつれていた。新しい体験をさせてもらったので、オーダーすることにした。
2度目は2022年春夏シーズン、80年代のムードを感じそうで感じられないケミカルウォッシュの3Dデニム。
そして今回のコレクション。
生地はDORMEUIL SPORTEX THORNPROOFが2色(BROWN,BROWN CHECK)と、去年のコレクションにも使っていたDORMEUIL HIGH-TECH(GREY)が1色。
(HIGH-TECHのラインにリフレクターが織り込まれているとはいえ)実にイギリスらしい顔つきをした、スポーティな3種類のツイード生地。
最初のモデルから今期のモデルに至るまで細かい仕様変更はされているけれど、その「座ると綺麗な形になるパンツ」というデザインは変わらない。
ただ、最初の頃に感じていた「違和感」や「よくわからない」といった印象を僕は今回のパンツからは覚えない。
何か意味を感じる生地。
「座ると綺麗な形になるパンツ」として生まれ「立体裁断/ケミカルウォッシュ」という流れを経て、CLASSの「膝部分から極端にカーブをかけ大きく湾曲させたパンツ」は今、何かにまたがる為に作られたパンツまでたどり着いたのかもしれない、と思いました。
イギリス製ツイード、リフレクター。妙に納得が行きますね。
洋服はある特定の「瞬間」がかっこいいものであるとも思います。
立ち姿がかっこいいパンツが許されるのであれば、何かに跨った時/座っている時/階段を上る時の姿がかっこいいパンツが許されてもいいはずです。
変な形だからといって「これは新しくてきっとかっこいいもの/変で面白いもの」なんて思考停止してただ穿くのは簡単ですが、僕らはその「よくわからないもの」だからこそ自分が穿く意味を自分で見つけたい。
だから考えるし、だから洋服は面白い。
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河上 尚哉
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