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三段重



色々なニュースが飛び込んできて、正月気分もどこへやら。なんとなく年末と正月が繋がってしまいましたが、2024年は明けています。

大晦日から元日にかけて都内にある妻の実家へ子供らを連れて帰省し、義父母とともに立派な三段重ねのおせち料理を頂きました。MANHOLEに届いた手作りのおせちも食べてみたかったな…。こんにちは、鶴田です。

おせち料理といえば…。



インナーは栗きんとん。栗は「勝ち栗」と呼ばれる縁起もの。漢字で「金団」と書き、黄金色で縁起がよく蓄財につながるらしい。



キャップは金箔が乗せられた黒豆。まめに(勤勉に)働き、まめに(丈夫で元気に)暮らせるようにとの願いが込められている。つばの裏には赤く染められたちょろぎ。「長老喜」「千世呂木」と書き、長寿を願う縁起もの。



ボトムスは艶やかな黒。「喜ぶ」「養老昆布」に引っかけられた昆布巻きは「子生(こぶ)」と書くことから、子孫繁栄の意味。

“ CLASS ”
– CCDA13UNI A –
¥473,000- (tax included)



そしてメインディッシュは、牛革。噛めば噛むほど旨味が溢れ出す、つまり亀は万年。長寿を願う食材。小学生の頃に口に入れた牛革を80歳になるまでずっと噛み続けたという男性は、その後130歳まで生き続けたらしい。豚の鼻みたいに特徴的な形をした2穴ボタンは、大きな穴が開いていることから「将来の見通しがきくように」と験(げん)を担いだ山の幸、れんこん。

嘘です。ぜんぶ。

こんにちは、鶴田です。明けましておめでとうございます。おとそ気分でロックンロール。酔っぱらってはいません。



それにしても、しっとり艶やかな革質。品質表示タグに「CALF SKIN」と書いてあるので、牛革という点だけは本当だった。



それなりに厚みがあるのに、しなやかでもっちりとした食感。いや、触感。レザーシューズに使えば実に履きやすい靴が出来上がりそうだ。



お賽銭用の小銭くらいしか入らなそう。コインケースのように小さな小さな蓋付きポケットが、左袖先にちょこんと。



ヨーク部分はボディ本体よりも少しだけ皺(しぼ)が細かい、赤みがかったブラウンのCALF SKIN。ダークブラウンと赤茶のコントラストがフラットシーマで繋がれた同じ地平に並んでいる。ボタン付けの糸も、洒落た色選びがさりげなく利いている。



洋服好きな人のコーディネートはおせち料理である。メニュー単品を延々と食べ続けるチャーハンやカレーライスみたいな料理と違って、それぞれの品目に個性があり、味の彩りがある。ついでにいえば、アイテムごとのルーツや意味もある。食べ方の順序を組み替えれば、一口前に食べた時とはまた違った味わいを楽しむこともできる。

勿論、カレーライスとおせち料理の関係に優劣などない。ダウンジャケットにデニム、スニーカーというコーディネートがカレーライスに福神漬け、らっきょうという組み合わせだったとしても、それはそれで美味しければそれでいいと思うし、そういうメニューを無性に食べたくなる時もある。とりあえず、茶わん一杯の白米と味噌汁で満足できない食いしん坊は調理方法や組み合わせを変えながらカレーライスを楽しんだり、とんかつに舌鼓を打ったり、カツカレーにアレンジしたりしながら白米を楽しむ。



つい先ほど「牛革がメインディッシュ」と書いてはみたけれど、そもそもおせち料理に「メインディッシュ」は存在しない。すべての料理が小分けにされて、重箱の中でフラットにひしめき合っている。さらに言えば、おせち料理で白米を食べる人はいない。「ごはんVSおかず」という構図はおせち料理の中には存在せず、すべての品目は「おかず」という概念から解き放たれて独立した「料理」となる。

ぶりと田作りと海老と数の子とかまぼこが同じ目線で並べられたクローゼットの中から、選び、組み合わせ、重箱に詰めていくという工程は実際にやってみるとなかなか楽しそうだ。普段はメインディッシュ級の車海老や寿司ネタとしては上位クラスの数の子が選から漏れていくという自由さも含めて。



福が重なるようにとの思いを込めて、重箱に詰められるおせち料理。堀切さんのクリエーションにも同じような態度が感じられると思う。洋服と洋服をフラットな目線で重ねて楽しんでほしい、という態度。毎シーズンCLASSのコレクションを見ると、まずはアイデアのバリエーションの豊富さに驚かされる。それぞれの品番にきちんと仕事が施してあることが分かる。主役も脇役もない。だからこそ、レザーブルゾンとカットソーとスカートとアームウォーマーがプライスの高低や素材の優劣に関わらずフラットな目線で、ただ並べられているのだと思う。

「ブルージーンズに一番似合う究極のレザーブルゾンを作ってみました」

そんなセリフを堀切さんの口から聞くことは一生ないだろう。ご飯を何杯もおかわりできるとんかつ定食の完成美を追求する職人気質よりも、もっと欲張りで、もっと飽きっぽくて、もっと好奇心旺盛なデザイナーなのだから。



メインディッシュ級のプライスと迫力を兼ね備えたレザーブルゾン・CCDA13UNI Aすらも、堀切さんにとってはコレクションの一部に過ぎない。特別視しすぎることなくフラットな目線でコーディネートに取り入れてみてほしい。思いもよらない組み合わせや楽しさを呼び込んでくれるだろう。

MANHOLEもまた、メインディッシュが存在しないお店。おせち料理のようにフラットな目線で、重箱に何を詰めていくのかをお客さんと一緒に楽しめるお店でありたいと思っている。





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