かけら
先日降った大雪。我が家の子供らは夜まで降り続く雪の中へ飛び出していき、真っ暗な庭で雪合戦をして遊んでいました。「寒いからもう家に入ったらー?風邪ひくよー」と僕がベランダから呼ぶまでの間、ずっと。
特に下の子(小2)は、彼の記憶の中ではほとんど初めての雪体験だったようで、手がキンキンになるまで戻ってきませんでした。初めての体験ってワクワク楽しいものですよね。真っ暗になるまで遊んでしまう。
こんにちは、鶴田です。

CLASSから届いた謎の洋服。

大きくU字型に開いたVゾーン、もといUゾーンのカーディガン。カーディガン?フロントボタンは付いていない。ホックも付いていない。前合わせを閉じるための留め具はなにも付いていない。そして、ポリエステル87%ポリウレタン13%製のネイビーボディを金モール刺繍でぐるりとトリミングしてある、謎の意匠。
なんだこれ。


ネイビーボディの生地はグニャグニャとモッチリとカサカサの三叉路交差点に落っこちているような質感。ウエットスーツというには頼りなく、婦人用のストッキングというには分厚過ぎる。ちょっと透け感がある、謎の質感。
なんだこれ。

ジャケット代わりに羽織ってみると、ふらふらと、所在なさげに揺れるフロントスタイル。そりゃそうだ、留め具が何も付いていないんだから。厚手のストッキングみたいな素材なんだから。

角丸なスクエアカットの裾部分、スリムな袖口で蛇行運転の金モールが行進を続けている。

なんとなくクラシックな雰囲気が漂ってはいるんだけど、でも、素材は厚手ストッキングだし…。

線路は続くよ
どこまでも

野を越え
山越え
谷越えて

遥かな町まで僕たちの

肩幅が狭く、着丈が短いスモールフィット。グニャグニャに伸縮性があるしフロントボタンを留める必要もないので、サイズ感があまり当てにならないという意味を含めたスモールフィット。

ヒダ胸ウイングカラーのシャツに羽織れば、どことなく高貴な感じがする。ここまでは当たり前。

白シャツは裾出し、テキトーにブリーチされたブルーデニムと合わせても高貴な感じ、まだKEEP。
なんだこれ。

どことなくナポレオンな感じもするし、どことなくCHANELな感じもするし、どことなくチロリアンな感じもするし、どことなくワークジャケットな感じもするし、どことなく海軍ブレザーな感じもする。どことなくそんな感じはするけれど、この洋服が何者であるかは断言できない初めての感覚。
なんだこれ。

– CCES10UNI A –
¥136,400- (tax included)
親の記憶だと、息子が保育園に通っていた頃に何度か体験していたはずの雪景色も当の本人にとっては初めての雪景色。空から舞い降りてくる白いふわふわの物体が地面に重なっていく様子が珍しくてしょうがない。真っ白になった地面に寝転がってみたり、ふわふわを丸めて口に入れてみたり、自分で確かめてみないと分からない。初めてのこと。
空から舞い降りてくる白いふわふわの物体が何者であるのか。わた菓子かもしれない。羽毛かもしれない。湿り気があれば大根おろしかもしれない。自分で確かめてみないと分からないから、丸めて口に入れてみる。それが何者であるかを判別するのは、それからだ。あるいは判別なんてしなくてもいい。初めてのこと。
「ひんやりと冷たくて、口に入れたらすぐに溶けた」
たったそれだけ、かけらのように残った感覚的なものが、その人にとっての雪であればいい。

堀切さんは毎シーズンどこからか雪のようなものを運んできては、洋服屋の店頭にそれを降らせていく。まずは見てみて触れてみて着てみて、もしも遊べそうだと感じたら、遊べばいい。人によって感じ方はそれぞれだろう。「短い」「柔らかい」「高貴な感じ」「チロリアンっぽい」「金の線路が続いているみたい」
たったそれだけ、かけらのように残った感覚的なものが、その人にとってのファッションであればいい。大雪から数日が経って、それでも街角のあちこちには雪のかけらが残っている。溶けないままで。
楽しい旅の夢
つないでる
線路は続くよ
どこまでも
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鶴田 啓
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