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無彩色・黒



「黒い」って何なんですかね?映画でも「黒い」タイトルってよくありますよね。「黒い家」「黒いオルフェ」「黒い雨」「黒い十人の女」…。

ここ最近の、一連の「黒いシリーズ」から今日は「黒いパンツ」をご紹介。こんにちは、鶴田です。

“renoma” – WIDE TROUSERS –
Size:44/46/48/50
¥75,900-(tax included)



堀切さん監修のもと、MANHOLEとGodard haberdasheryのみに並ぶ黒いrenoma。
「renoma 風」スタイルではなく、モーリス・レノマがハウススタイルを築き上げた時代のムードをそのまま再現したかのようなライン。ちゃんとスウィングしてる、っていう。

ともすれば黒いセットアップの「一部」として見えがちなパンツだけど、ジャケットとセットアップすることもできるだけで、セット販売はしていない。勿論、素直にセットアップで着ると抜群にカッコいいことは分かり切っているんだけど…。「できる」ことと「できない」ことと「できるけどやらない」こととの差は、思いのほか大きい。



セットアップでブラックスーツとして着ると、素直にエレガントでカッコいい。オペラパンプスをスニーカーに履き替えてもムードが全く損なわれないほど、強靭な色気。エレガンス。

だからこそ、の。

ただ単純に「黒いパンツ」として、単品で扱う(着る)ことだって「できる」。



ある完成美の中から、オペラパンプスだけをピックアップしても良い。ウイングカラーシャツだけをピックアップしても良い。ジャケットだけをピックアップしても良い。というチョイスは、ドレッシーにセットアップすることもできるからこそ「できる」こと。

ビジネススーツの組下パンツでは「できない」こと。



ドーメルの黒いトニックはセレモニー感すら漂う優雅なムード。
腰骨をホールドするような股上の浅いフィッティング。だけど、2インプリーツがはっきりと入っているので、不思議と穿くと窮屈さはない。



内側も古典的なテーラーメイドを思わせる凝った作り。しかし、オールブラックなのでそれが特別に目立っては見えないという密(ひそ)やかさ。仕立てのわりにフロントジップという軽快さも良し。



「黒いセットアップ」の「黒いパンツ」と聞いて、どこかフォーマルウェアを意識してしまうという人もいるだろうか。まぁ、でも考えようによってはフレンチワークのモールスキンでもベンデイビスのワークパンツでもなんでもいいんだけど、作業着としても存在する色なので、そんなつもりでとりあえず着てみればいい。そんなつもりに見立てることが「できる」のも、このパンツがワークパンツではないと分かり切っているからこそ「できる」こと。フォーマルに着ることもできるからこそ、「できる」ことと「できない」ことと「できるけどやらない」こととの差は、思いのほか大きい。



例えば、裾を5㎝幅のダブル仕上げにしてみる。

ノーベント/ピークドラペルのブラックスーツとして見れば、ほとんど選ぶことのないパンツのダブル仕上げだけど(言うまでもなく、セオリーはシングル仕上げ)、これもアリかもねと思わせるムードがこのパンツには備わっている。ダブル仕上げすらも飲み込む黒いパンツだからこそ、足元はバッシュを履いてもいいし、ブラウンスエードのアンクルブーツを合わせてもいいし、ダイヤモンドパイソンでエグく見せてもいい。
そして、これは股上の浅い2インプリーツで裾幅の広いバギースタイルという、このパンツだからこそ存在する選択肢でもあるのだ。「セオリー通り」のセオリーを堂々と切り崩してきたのもまた、renomaのスタイルである。
正解と不正解が明確に分かれた、一つ外れると全てが外れという白黒はっきりした形式の中にすら遊びを見出すこと。
そんなrenomaが当時作り出したエレガンスを、僕たちは今、楽しむことが出来るはずだ。



勿論、これは提案のひとつでしかない。実際にはシングル仕上げにしてもダブル仕上げにしてもいい。しかし、裾上げのチョイスすらも楽しむことが「できる」という意味で、古典的な形をした洋服であるからこそ「どの長さで裾上げするか、どの仕上げで裾上げするか」といったステップに個人の色が出る。「なんでも大丈夫なんで、お任せの長さ/仕上げで!」と言い切ることも含めて、「できる」ことと「できない」ことと「できるけどやらない」こととの差は、思いのほか大きい。


黒は無彩色の中で最も強い色だ。

だからこそ黒いパンツにしかできないことがある。

手持ちの洋服が破壊的な色/柄/アイテムとカジュアルデザインに偏ってしまったときこそ、黒いパンツにしかできないことがある。
黒い無地の洋服と侮るなかれ。無限の中の有限でなく、有限の中に無限を見つけようじゃないか。
なんでもありのとっ散らかった今、黒こそがまさに無限の可能性を秘めている。





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