ワニの名前で僕を呼んで
黒い靴、と一口に言っても黒には黒で色々とあります。
こんにちは、鶴田です。
店内の奥の方から、なにやら話し声が聞こえますね。
エナ「久しぶりだね、こんな感じで集まるのも」
銀ちゃん「だねー、みんな元気にしてた?」
アリ「なんとかやってますよー、おかげさまで」
銀ちゃん「それにしても、アリ君は相変わらず貫禄があるなー。艶やかで、なおかつ、どっしりとした竹符が迫力満点。うらやましっ。エナは相変わらずのクールビューティーだし」
アリ「いやいや、銀ちゃんのその物腰の柔らかさ、2年ぶりに会っても相変わらず安心感あるわー」
エナ「ほんと、ほんと」
銀ちゃん「それにしても、カウフマンは相変わらず寡黙な男だな。静かな存在感。オペラパンプスみたいに特徴的なデザインに乗せても、嫌味にならない、決して主張し過ぎない佇まい。お前みたいに密やかな男に俺もなりたかったよ」
カウフマン「…いや、俺は俺の仕事をするだけさ」
エナ「ところで、ミルコ・クロコップはどう?仕事は順調?」
ミルコ・クロコップ「あのさぁ、前から思ってたんだけど、なんで俺の名前だけそんな感じなの?」
アリ「え?」
ミルコ・クロコップ「いや、さ。エナは『エナメル』だからエナ。アリ君は『アリゲーター』だからアリ君。自然じゃん。銀ちゃんは『銀付きスエード』だから単純明快」
銀ちゃん「うん」
ミルコ・クロコップ「カウフマンは…微妙な線だけど…ごく一般的な『カーフ』だからカウフマン。まぁ、ギリ分かるっつーか」
アリ「ミルコは『クロコダイル』だから、ミルコ・クロコップ。全然いいじゃん」
ミルコ・クロコップ「いやいやいやいやいやいや、俺だけおかしいじゃん。総合格闘技じゃないんだし、靴だし、俺。しかも、いまアリ君、なんつった?俺のことミルコって呼んだよね?クロコダイル、もはや入ってないし」
一同「うーーーーん」
ミルコ・クロコップ「でさぁ、いまさらなんだけど、俺、クロコダイルじゃないんだよ」
アリ「えっ!」
銀ちゃん「なんて?」
ミルコ・クロコップ「もう何年も前からクロコダイル、クロコダイルって言われ続けてきて…言い出すタイミングがなかったけど、俺、実は『カイマン』なんだ!!!」
一同「えーーーー!」
アリ「そういうことは早く言えよ、水臭いじゃん!仲間だろ、俺たち!」
ミルコ・クロコップ「いや、カイマンだなんて、みんなあまり知らないかもしれないし、なんか、細かいことにこだわっているみたいで、嫌だったんだ。でも、みんなのことをだましてたわけじゃない。それだけは分かってくれ!」
(突然、カウフマンがミルコ・クロコップを殴る)
カウフマン「バカヤロー!」
ミルコ・クロコップ「っつ…なにするんだよ!」
カウフマン「そんなことで…そんなことで…俺たちの友情が変わるとでも思っているのか!お前がクロコダイルだろうとアリゲーターだろうとカイマンだろうと、俺たち…仲間だろ!(カウフマンの頬にはふた筋の涙が光っている)昔、みんなで夢を語り合ったじゃないか!俺たち黒靴チームで、みんなのげた箱を一杯にしようって!」
アリ「おい…やめろよ、お前ら…『突然、カウフマンがミルコ・クロコップを殴る』のくだり、字面で見ると、ただドイツ人がクロアチア人をボコしてるだけになっちゃうだろ」
ミルコ・クロコップ「いや…いいんだ。たしかにカウフマンの言うとおりだ。俺はどこかでクロコダイルに対して劣等感を抱いていたのかもしれない。だから、言い出せなかったんだ。ごめんな、カウフマン。そして、みんな」
エナ「何言ってるのよ、あなたの素晴らしさは私たちが一番よく知っているわ」
銀ちゃん「そうだよ、カイマンは比較的小型のワニ、クロコダイルというよりもどちらかというとアリゲーター。クロコダイルは大型のワニ。カイマンは主に中南米に生息し、クロコダイルはアフリカやオーストラリアなどに生息する。カイマンは魚や甲殻類を主な食物とし、クロコダイルは大型の哺乳類や爬虫類も捕食する。カイマンは温厚で、クロコダイルは凶暴。そんなの、みんな知ってるよ!お前のその優しさが革質に出るんだろうな、少し薄手で柔らかく、ヒールカップやトゥキャップなどの曲線にも自然に沿うような扱いやすさ。アリ君の整った竹符とはまた違う意味でランダムな楕円形を多く含む丸符の動き、楽しさ、立体感。どこをとってもミルコらしさに溢れてるじゃない!」
ミルコ・クロコップ「エナ…銀ちゃん…(涙ぐむ)」
一同「ミルコ…」
ミルコ・クロコップ「いや、だから、やめい!やめい!ミルコでもクロコップでもないんだ、俺は!今日から俺は…今日から俺は…!」
(外に飛び出していく、ミルコ・クロコップ)
一同「どこへ行くんだ!待てよ!ミル…いや、カイマーーーーーーーーーーン!」
ていう靴です。カッチョイイですよ。カイマン革のグルカサンダル。
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鶴田 啓
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