PT25の元となるPT10をSADEと共に作り始めたのは2021年の初夏。完成したのは同じ年の11月頃。
ベルトレス、持ち出しと一体化した大きな前立て、天狗の代わりのフロントエラスティック、それに付属するジップ、両玉縁の脇ポケットという特徴的なデザインだけど、それが悪目立ちしないほど全体的なムードがとにかく格好良いパンツであるように思う。
当時使ったのは紡毛のグレンチェック2色と強撚した梳毛ウールの英国生地の無地グレー。

そして、2023年6月に改めて発売したPT10。
夏用に選んだサラッとふわっとした軽い生地は、見事にこのパンツにハマったように感じた。
PT10の特徴的なディテールは、生地が軽くなっても悪目立ちしないし、むしろ単調な夏にこそ良く見える。

デザイナーの影山さんが「こんなパンツが作りたいんですけど、どうですか？」と、PT10のイメージを伝えてくれてから早くも3年近く経つ。
飽き性の僕らが、飽きずにこのパンツを「良いな」と思えること。
そして、このデザインにまだ可能性を感じられたことが素直に嬉しい。

さて、そんなPT10の「持ち出しと一体化した大きな前立て、天狗の代わりのフロントエラスティック」などから始まる特徴的なディテールをそのままに、ショーツ用にパターンを引き直して完成したのが今回のPT25だ。あ、ヒップポケット足しました。

サイズ1でワタリ39.5cm、裾幅37.5cm。
深いワンインプリーツ、ワイドでボリューミーなショーツ。
長い靴下と繋がるような膝下の丈。
ベージュは薄手ながらハリのあるコットンツイル。PT25の形が一番素直に出る生地。
ブラックはトロピカルウールのジャカード生地。サラッとした肌あたりが心地よい。
ブルーは合物のウール生地。ボリュームあるシルエットにゆらゆらと揺れる。

短パンを手に取る理由に「暑いから、楽だから、夏だから」という以外の理由を足せる短パン。
もちろん暑いから穿いてもいいし、楽だから穿いてもいいし、夏だから穿いてもいいけど、真冬に短パンが穿きたくなって以来、我々にとって短パンは最早夏に穿くだけのものではない。
穿きたい時に穿く。
それが時に楽しく、時にかっこよく感じられるのであれば最高じゃないか。

※オンラインストアへの掲載は7月5日金曜日、夜20時頃を予定しています。

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河上 尚哉

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