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直線と曲線



m’s braqueの松下さんと言えば、独特のパターンメイキングを駆使した服作りを得意とするデザイナーとして知られています。

って、開口一番カタいですかね。

こんにちは、鶴田です。



「パターンメイキング」なんて言葉を使いましたが、言ってしまえば「そんなこと」お客さんには関係ない。いや、勿論「着やすい」とか「形がカッコいい」とか、目に見える形で洋服に反映される部分はあるのですが、基本的には洋服の構造・設計のための技術なので、よほど専門的に勉強しない限り「僕はパターンについての違いが分かります」なんて、洋服屋のスタッフレベルが簡単に語ることは出来ません。素人で、建築物を見て図面を思い浮かべちゃう人、いませんよね?たぶんハッタリなんです、あれ。

なので、僕らがお客さんと一緒に楽しむ「読み物としてのブログ」では、一旦、表からでも目に見える部分についてだけパターンに触れてみようと思うのでありマス。

まだ、カタいな…。



それにしても、カッコいい生地だ。

“ m’s braque ” -6BW jacket –
¥169,400- (tax included)



m’s braque お得意の下掛け6つボタンダブルブレストのジャケット。ほ~んのりと湾曲したラペルの形状、袖の振り、パッチポケットの丸み…。色んな箇所に松下さん独自のカーブ、曲線が見て取れますよねぇ~。



袖のカーブ、ぐいんぐいん。立体的で見事な曲線使いだなぁ。



直線的なふんどしを合わせても、ジャケットのカーブは健在。ワイドなラペルは相変わらず緩やかで大らかな曲線を描いているわけなんですよ~。



肩のラインはややカッチリとしているけれど、パッチポケットの大ぶりな角丸が全体の印象を柔らかく見せているんですかねぇ。黒っぽいジャケットなのに、寒くなったら発色の良いふわふわのカシミアストールを合わせたくなるくらい、過剰なシャープさとは無縁の気取らない一着。

好きだわぁ、このテンション。



後ろ姿はあっさりとノーベント。




広めの台場。優しい内ポケット。



フロントダーツもギュンとカーブ。やはり曲線使いです。全身を黒っぽくシンプルに合わせても、尖りすぎてないニャあ。英国式の直線的なダブルブレストに比べると、随分と親しみやすく感じますのぉ。

なんて、言っているうちに、もっともっと丸く柔らかい線を描くジャケットが、いよいよ登場だお。



もはや襟すらも付いていない、カラーレス。

“ m’s braque ” – collarless jacket –
¥132,000- (tax included)



ショルダーライン丸い、シェイプなし。しかし、ポケットはまっすぐの直線。



フロント留めにボタンは無く、直線的なジップ仕様。ここだけ見ると直線だらけなのでありマスです。



着ると丸い。ジャケットというよりも、もはやブルゾンみたいな丸さ。



でも、この辺りは直線だらけだヨ。



曲線の中にある直線。



グラマラスなプリントTとカットオフされたボトムスの組み合わせも、ある意味では曲線と直線の組み合わせかも。



丸いけどシャープ。シャープだけど丸い。この不思議な存在感。



曲線と直線を組み合わせれば、ほとんどすべての線を引くことができるし、なんなら数学的な観点で言うと、曲線も直線の一部らしい。つまり、曲線とは曲率が零とは限らないという意味で直線の一般化である、というのです。

ということで、お気づきですか?本ブログの文体、序盤のかしこまった物言いから、中盤~後半へかけてグニャグニャのゆるキャラみたいな文体に変化していったこと。つまり、直線と曲線の組み合わせ。いや、そんなん気付くわけないですよね。だって、うまくできなかったんだもん(スネる)。でも、これが逆説的に証明しています。直線と曲線を自在に操るなんて、一朝一夕、付け焼刃では実現できないんです。だから…?

もうお分かりですね。一見すると、どこが変なのか違和感があるのか分からないほど自然に「曲線」と「直線」を使い分けながら一着の上着を形作っている松下さんはプロ中のプロってこと。ちなみに、素材は2着ともにウール96%、ポリウレタン4%のヴィンテージファブリックです。




だから初めに言ったでしょ?「そんなこと」お客さんには関係ない、って。技術的なことがどうであれ、目に見える線だけを追っていったところで、プロの神髄には辿り着けない。だからこそ、僕らはこざかしいことをいちいち口にする前に、目の前にある一着の洋服に対してまっすぐな視線をおくるだけ。

「なんか不思議な感じがするジャケットだなぁ。とらえどころがない、というか…。でもカッコいい」

それで十分なんです。自分自身では分析・理解できない、とらえどころのないものが線となってファッションを形作っているのですから。是非、自分自身の身体で着比べて、(脳ではなく)感性で受け止めてほしいジャケットがここにあります。






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