卒業/ダッフルコート
熊本県に生まれ、小学校から18歳までずっと公立の学校に通っていました、鶴田です。そして、中学校~高校時代の制服は学ランでした、鶴田です。大人になるまで、ネイビーブレザーやダッフルコートに対して漠然とした憧れを抱いていたのは、学生時代にそんな学ラン人生を送ってきたからかもしれない。
熊本出身の僕、千葉出身の中台、静岡出身のしゅうや、富山出身のぜんのこうし君。馬刺し、落花生、お茶、ホタルイカに混じって、河上だけは東京生まれの都会っ子、しかも中高一貫の私立校出身。制服の上から学校指定のPコートを着ていたそうです。僕は学ランの上には何も着ていませんでした。アウター代わりのマフラーだけが許されていました。

¥198,000- (tax included)
ことの発端は今朝の会話。
「河上の高校って、制服の上にダッフルコート着てた?」
「いや、うちはPコートでした」
「Pコート!」
僕がそんな質問をしたのは、今日のお題が写真上のダッフルコート「WETTON」だから。ダッフルコートと聞いて「漁師」「英国海軍」というキーワードの他に思い浮かぶのは「学校の制服」、つまり学校指定のダッフルコート。というわけで、傍にいた河上に「制服の上にダッフルコート着てた?」と訊いてみたところ、答えはまさかのPコート…。それはそれで、育ちが良さそうだな。
ところで、なぜダッフルコートやPコートは品行方正に見えるのでしょうか?それは、たぶん「紺色」だからだと思う。学ランは「黒」でしょ?
そして、何故、ダッフルコートにしてもPコートにしても「海軍アイテム」だけが学校の制服に導入されるのでしょうか?しつこく調べれば分かるのかもしれませんが、そこまでの気力は無いので諦めます。でも、たしかに「陸軍・空軍アイテム」だとイヤだもんな。学ランの上にM-65、MA-1。もはや愚連隊。
やっぱり、学生らしく、清く正しく美しい高校生活には「紺色」の「海軍アイテム」がよく似合う気がする。それにしても、さぁ、どうしましょうか?結構な文章量を書いたのに、まだアイテムの説明を一切しておらず。とりあえず、どことなくフレンチなムードが漂うグッドボーイルックから始めてみましょう。





鮮やかなブルーのカシミアマフラーに、ブレザー、ニットタイ、フラノパンツ、そしてダッフルコート。上品ですね。奇をてらわず、普通に着ても十分にその良さが伝わってきます。カサカサ、ゴワゴワではない梳毛のSuper120sを使用した二重織りメルトンはしっとり、なめらか。
お次は、中&太畝の親子コールパンツを中心に少しナードなアイテムでコーディネート。





ブラウンやグリーンにも良く似合います。やっぱり、ネイビー最強説。トグル留めの部分にはフランス・HAAS社のアルザスレザーがどっしりと構えている。

麻ひもに木製トグルが取り付けられた海軍ダッフルに比べると、レザー紐+水牛ホーン仕様のトグルはシティでお坊ちゃんな印象。やっぱり上品だ。
そうそう、もう一人。MANHOLE内の東京出身といえば、ゆうと。彼の高校も制服はブレザーだったはず。本日お休みの彼にDMで「高校時代はブレザーの上に何着てた?」と訊いてみたところ「式典の時などは、普通にブレザーの上からロングコートを着てました」と返信が来た。横にいた河上が「たしか、ゆうとが高校のころに着てたコートってNAMACHEKOじゃなかったかな…」と呟いた。くそう、都会っ子め。

そういえば、一昔前までは「卒業式では好きな人から制服のボタン(ブレザーや学ランなどに付いているメタルボタン)をもらう」という習慣がありましたよね。いまもあるのかな…?
このトグルボタン、取り外すことができるんです。

根本からスポン、と。

トグル、全部とれちゃいました。卒業式の昇降口で後輩女子からモテまくり、の図。

トグルだけじゃなく、フードも取り外しできちゃいます。



トグルもフードも外してしまえば、ダッフル感50%減、大人の男のコートになった。この支配からの、卒業。
そういえば、30年前。メンノンのページをペラペラとめくっていたら、連載ページにエルメスオレンジのダッフルコートを着た藤原ヒロシが写っていた。寒い冬にダッフルコートを着て原宿辺り風を切って歩いてるオザケンの渋谷系も遥か遠くに思えたが、エルメスのダッフルコートをさらっと着た裏原ボスキャラを前にして、学ラン姿の僕は熊本でひとり下唇を噛んでいた。くそう、都会っ子め。しかし、さっきなんとなく調べてみたら藤原ヒロシは三重県出身だった。なんだ、うどんじゃん。河上とゆうとのほうが都会っ子じゃん。
なんて、地方出身者の鬱屈したコンプレックスはどこ吹く風、NICENESSの「WETTON」はダッフルコートとしてボーイッシュに着ても、トグル&フードをはずして大人な感じで羽織っても、どっちみちまっすぐだ。良いものは良い。まるでNICENESSみたいじゃん。
「これ、普通に良いコートですけど、なにか?」
そんな顔で自信たっぷりに原宿辺り風を切って歩けば、表参道に差し掛かる頃はトグルが全部なくなっちゃうくらいモテるってばよ。本当に良いコートは、全ての都道府県民に優しい。勿論、デニムにもコーデュロイにもジャージにもスウェットにもベルベットにも優しい。ただ、普通に着ればいい。ダッフルコート、都会っ子。この支配からの、卒業。
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