はっきりしないくらいが魅力的?
デデン!
Q:あなたは知人に漠然とした絶望を吐露されます。「はあ‥もう‥わたしの人生、お先真っ暗です‥」と。さて、どう答える?
①「そんなことない。きっと明るい未来が待っているよ。」
②「大丈夫だよ。オレ、暗いところ落ち着くんだよね。」
おバカな選択肢ですが、どちらの回答者も、
ひとまずこの知人の「人生」が「暗い」ことは受け入れているようですね。
「人生が暗い」ってどういうことなんでしょうか。それが分からなければ、なんとなく「暗いのはマズそうだなぁ」と感じる人は「明るいよ」と慰める人もいれば、「暗いの、落ち着くっしょ。明るいと目ェチカチカするし」と感じる人もいるはずです。
逆に考えれば、この悩める知人も現実には明るい部屋にいるかも知れません。
毎日毎日明るい室内で働いて、何なら寝る時も部屋は明るいまま派かも知れません。でも、シャワーを浴びながら、「お先真っ暗だ‥」と悩んでいるのかも。
ちなみにぼくは今、青山の半地下にいますが、「ウワーぼく、下にいるなー。上に上がりたいなー」と思うわけはありません。外は良い天気です。
それはそうと。
ぼくって、虫好きなんですよね。昆虫。小さい頃から採るのも見るのも好きでしたし、今でもかっこいい虫の写真が大きくプリントされたクリアファイルを使っていたりもします。好きなポイントは色々あって、もちろん虫の種類によっても違ってくるのは当然ですが、やはりまずはそのフォルムですよね。人間じゃなさ過ぎる節、形。独特の色や質感、光沢も。だから、何かその虫性に通じるようなかっこいいものを目の当たりにすると、つい思ってしまうんです。
なかなか思っても言わないようにはしているつもりなんですが‥
「虫みたいでかっこいい」と。
虫に喩えるということは虫以外の何かを見て思うわけです。
はい。いくらぼくが虫をかっこいいと思っていようと、
他の誰かは虫をかっこいいとは思わないかも知れません。もっと言えば嫌いだったり、生理的に無理な対象かも知れません。
「これ、虫みたいでかっこいいですよね!」
と言ったとして、何になるんでしょうか。もしかしたら不快な印象を与えてしまうかも知れません。
だから、いくら良い意味で表現しているつもりだろうが、無闇に言うのは凶だと思います。
だけど、もし「虫みたい」へのアンチコメントとして
「朝起きて虫になってたら嫌じゃないですか」とか「毎日徐々に蝿になってったらおかしくなっちゃいますよ」とか言われても、
困りますよね。それは、実際に、成っちゃってますからね。好きだからって、成りたいわけじゃあ、なぁいです。
君、喋りすぎ‥
はい、すみません。
向こう側に、ぺこり。
というわけで、本日はTENDER!
LOBSTER TAIL JACKETです。
「シンプルな黒いジャケットか。うん、着やすそうだな」
と、思うのも分かります。ぼくも第一印象は、そんな感じ。
でも、もしTENDER妖精おじさんが舞い降りたら、おっしゃるでしょう。
「キミ、分かってないな〜」
でも、このとっつき易さ。「何の変哲もなさそうな感じ」とも言えるかも知れません。
この要素は、ロブスターテイルジャケットにとって重要な気がします。
なぜかというと、実はそこかしこに変哲があるからです。
変哲エヴリウェアー。
made in England。
素材は100% WOOL。
WOOL BAIZEという密に織られ、厚めに仕上げられたウール生地です。
つまり目の詰まったギュッと質感で、防寒性を備えています。触ってみると、お、これは丈夫そうだな。
しかし、厚めだからといってゴワゴワしていると思ってはいけません。むしろ滑らか。
どうやらこのWOOL BAIZEという布はカードをプレイするテーブルをカバーする時などにも使われるらしい。そりゃあ滑らかでないと。ディーラーがクールに決められませんもんね。
丸みを帯びた襟。
濃紺で縁取ったパイピング。
袖も、ポケットも、くるりん。
可愛い変哲。
なんでくるりんしたんでしょうか。
やっぱり可愛いからでしょうか。くるりんに感謝。
依然くるりんしていますが、
くるりんさせずに着ることもできます。
裏地。
くるりん部と同様、濃紺に染められています。とても魅力的なネイビーに染まっていますよね。『よるくま』の色を思い出します。記憶ってすごいですね。久しぶりに思い出しました。感謝濃紺です。
ps 色名を見たら、” HADAL BLUE ” とのこと。深海の青。よるくま深海の青だったんですね。
後ろの裾。独特のセパレート。
ぼくの散歩コースの運河沿いでは、ジャコウアゲハが真っ黒で綺麗な翅をひらひら舞っています。
側面もセパレート。
後ろも側面もセパレート。
4つの部分。
どの縁も丸みを帯びていて、エッジは見当たらないけれど、分かれている。
パッと見普通そうだけど、普通じゃない。
名前はLOBSTER TAIL JACKET。
「よし、ロブスターの尾のようなフォルムを持ったジャケットを作ろう。」
「ジャケットを作ったぞ。まあ眺めるか。お?何かに似てねえか?ロブスターのテイルだ。」
「ふぅ〜ジャケット、完成。ん?え?なになに?裾がロブスターみたいだって?ハッハー確かに、それいいね!」
どんな風に出来たのかは、知りません。
ひとまずこのジャケットは、第一印象とは裏腹に、細部がつくりこまれテイル。なんだかよく分からないけれど、魅力的。
そう言われてみると、袖も分かれていて可愛いな‥と新たな視点が不思議。
ロブスターテイルは、極端にスリムでもファットでもないシルエット。
アームは細長め。上にもストレスなく羽織れそうですね。
上にガバっとボアなんて羽織ったら、真冬もへっちゃらなリアル装いですね。
WOOL BAIZE インサイド BOA
これがコレコレこうで、アレはああなのです。つまりそうなんです。
たくさん言えることはあります。というか実際喋っちゃいましたね。
それも楽しいことではあります。
でもLOBSTER TAIL JACKETは、
まずなんだか印象ぼんやりしていて、ピントを合わせて細かいところまで観察する。
すると、全然変哲あるじゃん!おもしろい。かわいい。
・・・あれ、変哲って何のこと?
とセルフ肩透かしを喰らうようなジャケットです。
何だかよくわからないけど、くらいの感じ
でもかっこいいかも、着たいかも。
それは魅力的なジャケットです。
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