これからの洋服



renoma:C.G.。以前紹介したジャケットの組下の側章トラウザーズ。
生地はジャケットと同じくパンチングのウルトラスエード。側章もシルクを模したウルトラスエード。
センタークリースのようにあしらわれたフロントのフラットシーマ。外側のサイドシームはない。
平面的な素材であるウルトラスエードを立体的になるように裁断/縫製して「トラウザーズにした」テクニック溢れる作り。
ウエストベルトもベルトループも存在しないすっきりとした腰回り。ボタンフライ。
両サイドに付属する持ち出しと二つのボタンでウエストを固定して穿くパンツ。
(今見ると)太くも細くもないストレートシルエット。


で、側章の意味は時代によって変化しているようだけれど、少なくともサイドシームが存在しないrenoma:C.G.にとってのそれは完全なる飾り。
サイドシームを隠す役割どころか、側章をつけるために直接ミシンで叩いているという、どこか皮肉の効いたナンセンスなデザイン。


何よりウルトラスエードのパンツで「ゴム式のイージー仕様でない」というのが珍しい。
MANHOLEでrenomaを正式に取り扱い始めることになったこのマルチポケットブルゾン以降、僕は文章で明言するのをほとんど避けていた(renomaに関係がないから)けれど、renomaのジャパンライセンスの一部をデザインしているのはCLASSのデザインチーム。
ウルトラスエードを用いたイージー仕様でないパンツ、というのは僕の記憶ではCLASSでもrenomaでも今回が初めて、もしくは長らく存在しなかった仕様だと思う。
まあ、そんな珍しさはどうでもいい。
この「よく見ると何者でもないパンツ」が、僕の目にとてもカッコよく映る。
軍服でも礼服でもない、ジャージでもない。renomaが2025年に生んだ新しいパンツ。
おまけに、ちょっと涼しい。加えてイージーケア。



前述した通り、何者でもない洋服。鏡の前の自分と相談しながら自由にどうぞ。
例えばジャージのように扱ってもいいし、礼服として着崩してもいい。
投げやりでもなんでもなく、なんでもいい。
なぜなら、こんなパンツは今まで存在しなかったから。
1960年代も1970年代も1980年代も1990年代も2000年代も2010年代も関係がない。
つまり、これは2020年代という今を過ごす我々にとっての、これからの洋服。

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河上 尚哉
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