どこ?
LUTZ HUELLEのLOW PANTSは、レーヨンのイージーパンツを土台として前後にウールのスラックスが貼り合わされたデザインのパンツ。

ぼくはつい先日このパンツがお店のラックにかかったのをみて咄嗟に「それかっこいいですね」と言いました。これを本音と言わずして何というでしょう。日本では滅多にないかもしれないけれど、道行く人とか、人との出会い頭に「その服いいね!」「あなたのそれ、キュートね」言われるとなんだかんだ嬉しくて照れちゃうアレが嘘偽りだったとしたら怖い、というか意味不明ですよね。ほんとに良いと思ったから口に出すんです。
しかしなぜか、河上さんから「ね、悠人はどこがいいと思った?」と返ってきた途端に口ごもってしまったんですよね。「どこ」かと問われるとなんかうまく言葉が見つからない。ほんとに思っているのにこのままでは嘘をついたと思われる!と思っているうちに会話の種は霧消し河上さんも立ち去ってゆきました。
残されたのはぼくとLOW PANTS(以下LP)。
「きみのいいところはどこなの?」と直接訊けたらいいのですが、そうもいきません。この世界にぼくとLPのふたりきりならぼくがただただ直感的に「いい」と思っていれば不足はないのですが、これもそうはいきません。みなさんがいますからね。
というわけで、このパンツの良さは一体どこにあるのか、考えてみようと思います。

まず、日本語表記の品質表示タグには、
表地 毛 100%
別布 レーヨン 100%
と記載されています。とくに面白みはありません。まあ別に素材表記なんてそんなもんですもんね。
と思ってペラっとめくって英語表記のタグをチェックしてみると、
SHELL VIRGIN WOOL 100%
CONTRAST VISCOSE 100%
これは、たぶん、ビンゴ!
何がビンゴかというと、”CONTRAST”。この表現に、ぼくの抱いた印象のヒントが隠されている気がする。ということはまだビンゴ!ではなくヒント!
シェルのウールがあっての、コントラストとしてのレーヨン(ビスコース)。




BLACK & BLACK
「コントラスト」というのは何か2つ(以上)のものを比べる際に用いられる言葉、であると同時にその2つのものの間にある違いそのものを指すこともあります。対比、対照、または差。
2つのものを比べると、ぼくたちは無意識にどちらが良いとか悪いとか、しばしばそういう思考に陥ります。
ですがモノクロ写真を見て「コントラストがかっこいいな」と思うとき、白い部分の方が良くて黒い部分は悪いと思っているのではありません。そしてコントラストがバキバキで良いと思うのもあれば、むしろグレーに溶けあうような曖昧さがよく見えることもあります。2つの差、もとい境界線がよく見えたりして、かっこいいと感じるのです。
このLOW PANTSにとって、レーヨンとヴァージンウール、イージーパンツとスラックスを分けて考えるのがバカげているのと同じことですよね。

NIGHT BLUE & BLACK




この前、友人:飯田匠くんの家に遊びにいきました。そしてこれはそのあと2人で家から駅まで歩いている間の出来事。
いつものように他愛も無い話に花を咲かせゲラゲラと笑いながら歩いていると、ちょうどコンビニの前に差し掛かったあたりかな、カバンをぶら提げたおばあちゃまが向こうのほうから歩いてきていました。いよいよすれ違おうとするとき、ぼくはおばあちゃまがなぜだかすんごいニヤニヤしてこちらを見続けていることに気がつきました。なんでだ?と思ったその瞬間彼女が言い放った言葉は、
「対照的ね♪」
ぼくは坊主でシャツを着ていて、匠はエクストリームボンバーパーマでロンT。
思わず2人とも吹き出しましたね。たしかにね。
そしてぼくは気づけば振り返りざま、「ありがとうございます!」と言っていました。
おそらく、「対照的(でいいわ)ね♪」と感じとったからだと思います。
いや、今思い返せば「対照的(でなんだか笑えるわ)ね♪」かもしれないな。おい笑われてんぞ匠。
そしてそれでも良いんです。ぼくはそういう感覚が大好きです。


このパンツの良いところはコントラスト。
そう答えるのか流石にいささか抽象的すぎるようにも思えますが、LOW PANTSに限ってはとても具体的だと言えます。
スラックスの2タックがあるかと思えばその上にはイージーパンツのウエスト、レーヨンのギャザーがあるし。
歩けば、ウールに挟まれる形のレーヨンがサイドが独特のドレープやシワを生んでいる。
2つのメインが半ば強引に引き合わされたことで、生まれたコントラスト。これが妙なのです!そこが良いのです!
2つ2つと言い続けてますがこれはどこまで行っても1つのパンツ:LOW PANTS。
頭がスッキリした後に改めて穿くと、ぶっといパンツってやっぱりいいな、とか、これをイージーパンツとして穿けるの最高だな、とか素朴でピュアな良さにも気付かされます。
そして当然、上に着るものや靴などと合わさることで、表情や役割が変わります。スラックスでもイージーパンツでもないし、でもある、みたいな、どう考えても楽しいパンツ。




「ねえ、どこが好き?」と訊かれて、「ぜんぶかな!」と言ってしまうのは、もし「ここと、ここかな」と言ったときに「じゃあその他はだめなんだ」と思われるのを防ぐためだと考えられます。
代わりに、「それは、コントラストだね!」と言ってみるのはいかがでしょうか。
あ、LOW PANTSの話です。
それでは!


Color: BLACK & BLACK, NIGHT BLUE & BLACK Size: S,M
¥121,000- (tax included)
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