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ただ巻くだけ






こんにちは。
MANHOLEの河上です。

道端に片方だけ落ちてる軍手、道路の脇に両足揃えて置かれている運動靴、コロナ禍後の路上で一日に数回は見かける汚れたマスク。
のように、持ち主を失って所在無げに置かれているのは2020AWシーズンにCLASSがリリースしたフード:NO RELIGION。

店頭に並べていると「これはなんですか?」と、薄笑いで聞かれることが多いけど、見た通りフードである。別に面白おかしく感じる必要はない。




見た通りフードであるが、ただのフードのようでただのフードではない。

40年代のアメリカ軍のガスフラップをベースにしたフード。
マスクをして装着するように作られている為、横に大きく広がる形状が特徴。
ボタンホールが開いているウルトラスエードのタブを利用することで、手持ちの洋服に装着が可能。
素材には英国羊毛を使用したツイードを使用。
内側には、洗濯しても光沢が変化しない特殊なSHIDORI SILKを用いている。

ただのフードのようで、ただのフードではないが使い方は簡単だ。
ただ単純に巻くだけである。



面白がらずにただ巻くだけでいい、というのがとても面白い。
フードに用いられた素材も理にかなっている。
フードを被れば油分の含まれた英国羊毛のツイードが雨を弾いてくれるし、風も防いでくれるから単純に暖かい。
シルクのライニングは熱伝導率が低く、放湿性もあるので必要以上に熱が篭らず快適なはずだ。

一見ふざけているようで超真面目に作っているからこそ、真面目にふざけながら楽しめる洋服であるように感じる。
この真面目にふざけながら楽しむことが出来る、というのはこのフードを手に入れた人だけが出来る楽しみ方である。
「なんですか?これ。」と、薄ら笑いを浮かべながら遠巻きに眺めているだけでは絶対に味わうことが出来ない。
別に難しいことも面白いことも何もない。
このフードの使い方は「ただ巻くだけ」で完結し、難しいことや面白いことは「ただ巻いたあと」から始まるのだ。


” CLASS “
– NO RELIGION – ¥49,000+TAX-



人は自分の感覚の外側から飛び込んでくる物に対して身構える事が多い。
もちろん僕らだってそうで、MANHOLEをオープンしてからの一年とちょっとの間は自分の感覚を信じて疑い、自分の感覚の外側で起こる出来事を受け入れる隙間を作る為の作業をしている。
そして、これからもその作業を続けて行くのが僕らの仕事のような気がしている。

洋服はその作業をスムーズにしてくれる一つのツールである。
自分が「良いな〜。」と思った物はもちろん、「無いな〜」と思ったものこそ着るだけ、履くだけ、被るだけ、巻くだけで、自分の感覚を押し広げてくれる。
世の中の「面白いこと」は自分の感覚の外側にある事が多い。
洋服は着るだけ、履くだけ、被るだけ、巻くだけでそれに触れる可能性を作り出してくれて、最終的に他人とどこかで交わることを期待させてくれる。




「自分の感覚の外側」といえば。
この夏、ようやく自分の中の「タンクトップはいらない(着ない)」という項目をクリアしてタンクトップをお客さんに数多く渡せたせいか、ボートネックやオフショルダーネックといった、肩のラインが出る洋服が気になっていました。

中途半端に挑戦しても意味が無いな〜、なんて考えた結果。
今の自分の中で許せるか許せないかくらいのギリギリのラインであるオフショルダーのスウェットをCLASSが2,3年前にリリースしていたことを思い出し、無性に欲しくなったので僕一人の欲望のまま依頼することに。
なったのですが、結果的にブランド/お店/お客さんを巻き込んだ僕の暴走になってしまうと判断し、今立ち止まっています。もちろん物に罪はなく、僕の妙な勢いと独断的な社長の部分が出てしまいました。
既にブランド側にはご迷惑をおかけしている最中なので、災い(僕一人の暴走)転じて福となす事が出来るといいのだけれど。。。



オフショルダーネックのスウェットは諦めきれず、元同僚の大谷くんがどこかのお店で買っていたのを思い出し、無理やり借りて色々試している最中。

用いられる特殊裏毛は素肌に着たい風合い。
肩のラインがここまで開けば、タンクトップも映えるしいいと思うんだけどなあ。
男のオフショルダーは開けちゃいけない扉なんでしょうかね。

それにしても、一連の僕の暴走で改めて痛感したのは、こういった洋服こそインラインとしてラインナップされている時に素直にオーダーするべきだということ。
「欲しいな〜。」なんて後から思っても色々な事情で再現出来ないパターンの方が多いし、ブランド側もそのシーズンにオーダーを貰った方が嬉しいに決まっている。
買い物は簡単なようで意外と難しいけど、とりあえず気になったら買っとくくらいの気持ちの方が良いのかもしれません。




物だけ見ると考えてしまうものも、ただ着るだけを繰り返していると何かを思いつくようになる。
「ただ着るだけで終わるもの」と「着たあとから始まるもの」の差は、もしかするとそこにあるのかもしれない。




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河上 尚哉

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