足りてない

これは今シーズン、whowhatからリリースされた「DOWN VEST」という商品に付属する中綿。
京都の老舗羽毛布団屋さんに製作を依頼した、着脱可能/着用可能なダウンパック。



「布団屋さんに作ってもらった」というだけあって、布団カバーと羽毛布団を着脱するためのループと紐で、本体のベストとダウンパックを一体化させるような仕様になっています。
僕は小さい頃からこの作業が嫌いで嫌いでしょうがなく、良く羽毛布団が布団カバーの中で行方不明になっていました。
今はもう布団を使うのを諦めて、暖かい毛布にくるまって寝ることにしています。
僕は暑がりなので、布団の中のひんやりとした部分を探すのが好きだったのを思い出します。
夏場に部屋の冷房を16度に設定して、暖かい羽毛布団にくるまって寝るのも好きでした。
布団カバーの中で羽毛布団が行方不明になっているのを利用して、暖かい部分/そうじゃ無い部分を使い分けて寝るのも得意だったんですが、歳をとるごとに「帰ったらすぐに快適に寝たい。」とう気持ちが強くなり、布団カバーの中ですぐに羽毛布団が行方不明になるのを避けるために暖かい毛布を使って寝るという選択に切り替えることにしました。
一度だけ、「布団カバーの中で羽毛布団が行方不明になっている状態では寝る事が出来ない」ということに気付くほど本当に寒い日があり、その日は起きて布団カバーの中から羽毛布団を取り出し、一本ずつ丁寧に紐を結んでみた経験があります。
そうして均等に羽毛布団が配置された完璧な布団は本当に暖かく、「どんなに面倒な事でも、一つ一つ丁寧に行えばすぐに結果が出る」ということを学んだ気がします。
このベストのダウンパックの結び目を一つ一つ解きながら、僕はそんな足りていない過去を思い出しています。
そして、ダウンパックをベストに装着し直すことは考えないようにしてます。
中台か悠人にやってもらおーっと。





さて、そんなユニークなダウンパック。
試しに着てみたところかなり良い。
ヌーディなカラーも可愛い。
前合わせが出来るように、フロント釦も付いている。
気が利いているのか、気が利いていないのかわからない点もちょうどいい。
「暖かい」という機能を目指しながら、どこか足りていない感じがとてもしっくりきます。



先日発売したBROOKLYNと合わせても良さそう。
このコートは、単体だと暖かくない。せいぜい風止め程度。
かっこいい。こういう合わせ方を真冬にしたかった。買えた人が羨ましいですねえ。


「暖かすぎないから好き」という理由から、毎年着る頻度の高いFRANK LEDERのぺらぺらのコート。
こういうどこか足りていない/完璧じゃない洋服を、自分で考えながら他で補っていく事が僕らは好きだったりします。



” whowhat “
– DOWN VEST – [ CHANCHANKOの中身 ]
SIZE:F
このダウンパックは付属品。
単体で売ることは出来ないのですが、「別にこれだけでも欲しいな〜。」なんてことを感じさせてくれます。
自分にとって完璧な人、完璧な物、完璧なこと。
誰かにそんな理不尽な完璧さを求めてしまうこともありますが、「どこか足りていない」くらいの方が完璧な状態よりも居心地が良いことの方が多い気がするのです。
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河上 尚哉
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