似合わないなんて似合わない
これは普段通りの僕と中台。
一見すると対極にある二人。
二人で全く同じものを着たとしても、絶対に違う似合い方をする。
だけど、僕らはあまり自分たちのことを(見た目だけでは特に)対極的だと思っていない。
確かに生活/性格/通ってきた道/遊び方など、諸々僕らの内側の部分を総合的に見たら正反対な部分は多い。
ただ、僕らは「かっこいい」と思うものや「嫌い」だと思うものを、お互い無理にペースを合わせることなく共有が出来る。
一見すると全く違う僕らを結ぶ為に必要な行為は、中台が僕のような生活を送ることでも、僕が中台のような生活を送ることでも無い。
その時それぞれが「いいかも。」と思えるものを、それぞれが「いいなあ。」と思うように扱うだけだ。
その際に僕らが共有する言語の一つが洋服である。
人と洋服を使って遊ぶことは、飽きない。
さて、熱しやすく冷めやすい、凝り性で飽き性が故に自分達がオーダーした商品を全く見返さず、実際に物が届くまで綺麗さっぱり忘れたいとすら思っている僕らでさえも「あれが入って来たらこう合わせたいよなあ。」なんてことをそれぞれが想像しながら到着を楽しみにしていた洋服。
それが、今日改めて紹介するCLASSのsubmarinoだ。
CLASSのオーバーパンツ:submarinoが最高にかっこいい。
いや、「最高にかっこいいだろうなあ。」とは思っていたんだけど、ここまでかっこいいとは思わなかった。
売り場に並べていても昨日のブツ撮りのようにホタテの貝ひものようにしか見えないけど、穿くと最高にかっこいい。
お客さんから「これはなんですか?」と聞かれた際「確かに一体なんなんだろう?」と考え込んでしまい返答に時間がかかるけど、穿くと最高にかっこいい。
便利なポケットも何も無いし、特に機能性も何も無いし、穿いて得られるものが何かなんて聞かれたら困るけど、これは穿くことに意味がある。いや、穿くことで意味が出る。穿くと最高にかっこいい。
また買い付けをミスりましたよ。俺の大馬鹿野郎。
100枚くらい仕入れておけば良かった。いや、100枚は少ないな。150枚。
WOOL/LINENのネイビーストライプと、COTTON SELVEDGE CHAMBRAYのエクリュ2色展開。
WOOL/LINENのネイビーストライプの生地、実はこのジャケットと同型で何枚かオーダーしていたから「セットアップで紹介したいね〜。」なんて話していたのですが、ジャケットはいつの間にか無くなっていた。ジャケットも足りて無いじゃん。俺の馬鹿野郎。
「まあ、目の前に穿いている人がいないと伝わりづらいパンツだろうから、自分たちで買ってお客さんに紹介していこうかあ。」なんて気持ちでいたんだけど、そんな僕のナメた認識以上に受け入れてくれるお客さんがいて自分たちが穿く分はどうやらありません。
よく二人で話すけど改めて、受け入れてくれるお客さんってすげえ。
「お客さんに出す用だから〜。」なんて言いながら半分以上は自分たちが(主に僕が)食べていたパイン飴。
毎日浴びるように飲んでいるファミリーマートのアイスコーヒー。
「太るからやめた方がいいよ。」と、お店を気にかけてくれるスタイリストさんに何回も言われているにも関わらず、毎日一本は飲んでいた三ツ矢サイダー。
「昼飯早く食べると閉店後お腹すくな。」なんて理由で最近お店にダース買いしたトムヤムクンヌードル。
そうやって日々無駄に使っているお金を、全てこのオーバーパンツを買うための足しにして、半年前に自分の中に生まれた「このオーバーパンツ、最高にかっこいいな〜。」という直感をもっと信じれば良かったです。
そうすれば、僕も太らない上にこのオーバーパンツを買えてハッピー、中台もこのオーバーパンツを買えてハッピー、悠人もこのオーバーパンツを買えてハッピー、そろそろ自分のブランドの展示会を終えてMANHOLEに復帰するよしろうもこのオーバーパンツを買えてハッピー、このオーバーパンツを気に入ってくれるお客さんの顔をたくさん見れてハッピー、CLASSのデザインチームもハッピー、生地屋さんもハッピー、縫製工場もハッピー、という幸福の連鎖を生み出せる機会を自ら潰してしまいました。
中台は他のお店で買うと言っています。買えるといいね。
かろうじて複数枚オーダーしておいたからまだ良かったです。
「このオーバーパンツ、最高にかっこいいな〜。」という直感があの時自分の中に生まれなければ、僕らはこのパンツの楽しさに気付くのにもっと時間がかかっていたかもしれない。
もうパイン飴と三ツ矢サイダーはやめました。
仕事終わったらお腹空くのでたまに食べるトムヤムクンヌードルは許してください。
ファミマのアイスコーヒーは太らないからいいよね。。。
割と長いこと気に入って着てしまっている柄物のパンツも新鮮に見えますね。
すでに見慣れて自分のものになったスウェットパンツも、違った顔を見せてくれます。
さて、一見すると対極的な僕と中台の距離を近づけるのも、CLASSのsubmarinoのような洋服。
なんせこの洋服には誰かが勝手に決めたジャンルやルール等の謎の間仕切りが何も無い。
自分が「いいなあ〜。」と思うように着て、自分が「いいなあ〜。」と思うような時に着ればいい。
暑い時に着てもいい、寒い時に着てもいい、どう着てもいい、誰が着てもいい。
「自分には似合わないかな〜。」なんて思う必要もない。
このパンツを穿く際に「似合う/似合わない」という言葉こそ、似合わない。
自分にとって/誰かにとって特別な一枚の洋服。
自分にとって/誰かにとってどうでもいい一枚の洋服。
それら全てを「ただの一枚の洋服」として着るためのきっかけを、このただの一枚の洋服は確かに与えてくれる。
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河上 尚哉
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