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名もなきニット




たくさん仕入れたつもりだった靴も、残り3足。
Blogで紹介していない洋服はcantateのシャツくらい。
cantateのシャツは真夏から秋にかけての導入として考えていたので、少しだけクッションが欲しい。

と、いうわけで今週は来シーズンに向けて企画している物について書こうと思います。





1974年創業。
仏:H社/C社、伊:D社など、トップメゾンのニット生産を現在も担うイタリア:ボローニャのファクトリー。

そのニットファクトリーが2009年に「BLUM」というニット専業ブランドを発表する。
その後「JP BLUM」に改名、2014年の秋冬シーズンに日本での取り扱いが本格的に始まった。
その後数シーズンかけて日本の市場に少しずつ定着してきたところで、突然ブランドが休止する。

その主な理由は「本業が忙しくなったから。」

「うん、そうか!」と納得せざるを得ない内容だけに、当時のJP BLUM代理店:SEKOND/吉田さんの悔しそうな顔を今でも思い出す。





ネームタグすらニットで作成していたJP BLUM。
「徹底してるな〜。」くらいにしか感じていなかった。
タグのデザインとしては、当時の僕には特別かっこいいものにはあまり見えない。





2021秋冬シーズン、MANHOLEでは幾つかニットを企画している。
その一つの生産を、かつて「JP BLUM」を運営していたイタリアのニットファクトリーに依頼することになった。

リファレンスは90年代のイタリア製モックネックニットソー。
別件で吉田さんの事務所に伺う際「JP BLUMでこういうの作ってくれないかな〜。」と心のどこかで期待しながら着ていったところ、僕の目論見通り吉田さんは声をかけてくれた。

話を聞けば数と値段だけ僕らがクリア出来れば、作れる可能性があるとのこと。
数はビビったけど、値段はそれに見合うものにすればいい。

結果的に数と値段以外にも色々な障壁はあった。
だけど、そういうのは大体吉田さんが片付けてくれた。
僕らが今後どうにかしなければならないのは、お客さんにどう渡すかを考えることだ。





先日サンプルが届いた。

今回企画を進めていて一番驚いたのは、当初ニット成型+カット縫製ありきで考えていたディテールが全てニット成型で上がってきたことだ。
ステッチは減らし目/リブは編み地を重ねて表現している。

「肌当たりも良くてすごく上品になったのは嬉しいんですけど。。。値段結構上がりませんか?」と、吉田さん伝いに工場へ聞いてもらったところ「ウチはニットファクトリーだ。こっちの方が絶対に良いし、縫製を入れる意味がわからない。」くらいの内容で返ってきた。
ここにきて、ようやく僕は「JP BLUM」のネームタグがニットで作られていた意味を理解することになる。

この企画がお客さんに受け入れられなければ僕と中台は今後しばらくは毎日同じ形のニットを色違い/サイズ違いで着続けることになる。
だけど、それはきっと無いだろう。
MANHOLEに通ってくれるお客さんであれば、このニットの良さがきっと伝わるはずだ。

サイズはM/L/3XL。
カラーはC.GRY / ORANGE YELLOW / ROYAL BLUEの3色。
店頭に並ぶのはおそらく10月初旬ごろから。





そういえば、数と値段以外にも僕らにとっての障壁が一つだけ残っている。

それは「JP BLUM」というブランドが過去のもので、今回のニットはあくまでもイタリアのニットファクトリーがMANHOLEで企画したニットの生産を請け負ってくれただけ、ということだ。

簡単にいうとブランド名を僕らで考えなければならない。
吉田さんは「MANHOLEでいいんじゃないですか。」と、ニヤニヤしている。
予期せずMANHOLEのオリジナルブランドが生まれそうです。

今はまだ名もなきニット。
さて、なんていう名前にしましょうかね。





河上 尚哉

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