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裏切りのコート



CLASSのデザイナー堀切さんが手掛ける、renomaのコレクション。この取り組みは10年以上前に始まって以来、断続的に、不定期で発表されてきた。時には2、3アイテムだけがリリースされる小さなカプセルコレクションのシーズンもあったりして、気まぐれと言ってしまえば言葉は悪いのだけれど、まぁ、毎シーズンまとまったボリュームで展開されるブランドに比べると、それほどアテにならない(『renomaの新作出るらしいよ』と聞けば、わぁ、久しぶり、楽しみー、というくらいの)ものだった。

2022年春夏シーズン、久々に本格的なボリュームで発表されたrenomaのコレクションはMANHOLEのお客さんには大好評で、ネイビーブレザーやパジャマなどがあっという間に店頭から姿を消していった。おそらく、このコレクションはMANHOLE以外でも人気があったことだろう。



2022年春夏シーズンのrenomaは1960年代後半から70年代前半ごろにサンジェルマン・デプレあたりを歩いていたかもしれないパリジェンヌのムードを今の時代らしくジェンダーレスに置き換えたような内容だったので、フレンチシック~70’sリバイバルというメインストリームの流れと(堀切さんは意図していなかったとしても)共振する部分が多かった。クラシック派の人たちにもイメージしやすい、という意味で時代の芯をシンクロニシティ的に捕らえていたと思う。

こんにちは、鶴田です。

それほど人気があったコレクションの次シーズン。もしかするとバイヤーたちは「前回のような 70’sフレンチスタイルムードの延長線上にあるコレクション」を期待していたかもしれない。

が。



2022年秋冬シーズンにrenomaからリリースされたのはパワーショルダーのマキシ丈コートだった。河上が紹介していたライトグレーのジャケットと同様に、70’sムードは皆無、むしろ1980年代のパワフルなシルエット、シェイプ、カラーリング。



力強く、重厚なダブルブレストのコート。肩幅、ドレープ、着丈。下で掛ける6つボタン。ダブルポケットというナンセンスデザイン。パワースーツの上に重ねれば、当時のウォール街で活躍できそうな80’sフィーリング全開のモデル。

春夏シーズンの流れからいうと、コンパクトなショルダーラインのAラインコートが登場してもおかしくない文脈なのに、それを軽やかに裏切ってくるrenoma。



男性的な逆三角形のシルエットで構築された、滅茶苦茶に男性っぽいこのコートを、僕らは軽やかに着る。渋くなりそうだったら差し色を使えばいい。



色違いのチャコールグレーも軽やかに、軽やかに、軽やかに。



赤いタンクトップやGジャンで軽やかに。重厚なものを軽やかに。



まるで寝間着のように、軽やかに。

いつだってそうだ。堀切さんは時代に対して軽やかに動く。評判(やセールス)が良かったコレクションの翌シーズンにバイヤー陣から寄せられる熱い期待から、軽やかに身をかわしてみせる。二匹目のドジョウを探させない。

「思い通りにはいかないよ」

そんなツンデレ思考すら感じさせる。

なぜならば、ファッションだから。ファッションには裏切りが必要だと僕は思う。予想通りにはいかないエキサイティングな瞬間こそが、ファッションだと思う。

おかわりを求められると、冷めてしまう。そんな天邪鬼な感覚が堀切さんの根底にはあるのだろうか。今回のrenomaのコレクションは前回同様を甘く期待したバイヤーを置き去りにしてしまったことだろう。


“ renoma ”
– Passy –
( 6 button double breasted coat )
Brown ¥151,800- / Chacoal ¥140,800-
( tax included )



renomaやCLASSのコレクションは、毎シーズン僕らを軽やかに裏切ってくれる。同じところに留まり続けることはある意味では容易く、ある意味では難しい。それを知っている堀切さんは、いつも僕らに挑戦状を叩きつけてくる。僕は長いことそう思ってきた。だからこそ、半年前の展示会でダイナミックな80’sスタイルを突き付けられて、僕は心の底で喝采を送っていた。そう来なくっちゃ。

僕らにできることは、この挑戦状を堂々と受け取って、堀切さんが思ってもいなかったやり方で、このコートを素敵に着こなして見せることだけだ。軽やかに裏切って。





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鶴田 啓

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