実験的コート


CLASSの白いペラペラしたステンカラーコート:CCFS12UNI A。
一見ただの白いペラペラしたステンカラーコート、のようでただの白いペラペラしたステンカラーコートだ。
ただ、「ただのペラペラした白いステンカラーコート」でただ終わらせるには違和感のあるただの白いペラペラしたステンカラーコート。
このコートがただの白いペラペラしたステンカラーコートなのにただの白いペラペラしたステンカラーコートじゃないと感じさせてくれる部分はどこにあるんだろう。




コート生地、というよりもシャツ生地に近い印象のふんわりしっとりぺらりとした100双のスーピマコットンツイル。
今期の「MANHOLE的ペラペラコート」の基準の一つである、裏地の付いていない仕様により、余計にふんわりしっとりぺらりとした着心地だ。
比翼仕立て、ラグラン、センターベント。
襟裏やポケットの内布には同色のクロコ型押しのウルトラスエード。
うーん、この説明だけではまだまだ「ただの白いペラペラしたステンカラーコート」であることが拭えないなあ。
あとはどこが「ただの白いペラペラしたステンカラーコートではない」ただの白いペラペラしたステンカラーコートなんだろう。
と、目を凝らしてみる。。。あれ?後ろから見るとなんか、アームホール太くない?
あと肩、ペラペラしてる生地の割にそんなに体に沿ってない気がするなあ。




うん、やっぱりアームホールが太い。
前から見るとそこまで太く見えないけど、後ろから見ると内袖の分量がかなり大きくとられていることがわかる。
そのせいで身幅は細く見える、というよりも太いアームホールに対して身幅が細い。
身幅は細く見えるけど、太いアームホールにより動きづらくない。重ね着もしやすい。
加えて、袖の外側のシームを袋縫いにしていることや肩の丸みを強調したパターンにより「シャツ生地のようなペラペラした生地」を使用しているにも関わらず、あくまでも、このコートの肩の形をしている。

100双のスーピマコットンツイルにウルトラスエード。
内袖の分量を大きくとった太いアームホール、アームホールに対して細い身幅。
ペラペラしているのに、ペラペラした生地にあえて抗うような肩の曲線的かつ立体的な作り。
「ただのペラペラしたコート」や「ただのステンカラーコート」や「ただの白いコート」が既に世にある中で「自分がただの白いペラペラしたステンカラーコートを作るとすれば」という実験の末生まれた、コート。


禅野くん「ああアユムくん、そんな着方は間違ってるよ」

禅野くん「ああ、アユムくんダメだってえ」

禅野くん「あああ」

禅野くん「おおお」

ただの白いペラペラしたステンカラーコートとして着ても良いし、ただの白いペラペラしたステンカラーコートではないものとして色々試してみてもいい。
更に言えば着る人にとってこのコートがただのステンカラーコートであるかただのステンカラーコートではないかなんてどうでもいいことだ。
僕がこのただのステンカラーコートを見て感じること。
それは作る人間の精神性は着る人に物を委ねた後にも、確かにそこに存在するということ。

2025年、もはや短パンは真夏だけのものではない。



Color:WHITE Size:2
¥143,000-(tax included)
ただやりたいことだけを詰め込んだ洋服はいくらでもある。
あるけれど、この「ただの白いステンカラーコート」は一見無意味に感じる工程に意味を持たせた実験的なコートだ。
で、結果として普通の顔をしながら日常的に着ることの出来るステンカラーコートのように見えるということは、その実験が成功していると、僕は思う。
素晴らしい、ただのペラペラした白いステンカラーコート:CCFS12UNI A。
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